FFIII外伝
〜ハインの弱点、ここにあり!〜
はじめに
この話は、ファミコン版FFIIIの時期に書かれた話です。よってプレイヤー各人が様々な思い入れでプレイしています。DS版とはまた違った解釈のストーリーをお楽しみいただければ、幸いです。
クリスタルを地中に沈めた大地震をきっかけにして、邪悪な力に取りつかれたアーガス城の神官、ハイン。彼は主君である国王以下を監禁し、モンスターを配下に使い、領民を苦しめ、妖精の森にある、長老の木をくりぬき、城の姿にした。
人はそれを、ハインの城と呼ぶ。
今、その中に、クリスタルの啓示を受け、世界に光を呼び戻すべく戦う、「光の四戦士」の、ナイト:ハーロウ・アイゼンハート、白魔道士:エフスキー・ラズーム、モンク:フェローラ・グッドフェロー、学者:イストリアン・ジーバもいた。
「おーい、有力な情報を聞き込んできたぞ。」
フェローラが、他の面々が休憩しているところへやってきた。
むやみやたらに歩き回っていても、仕方がない。よって、一旦休憩し、パーティー中では一番身軽で人当たりのいい、フェローラが情報収集に出た。そのわずかな間にも、「人間型女性モンスターにしかもてない男」ハーロウは、案の定ラミアに目をつけられてしまい、やっとの思いで振り切ってきた。苦労性のエフスキーは、ラミアをはじめとしたモンスターを統べる、自らの頭を抱えた女騎士、デュラハンの存在を知り、「先行きが不安だ」と、デュラハンではないが、頭を抱えている。イストリアンはあいも変わらずマイペース。「まじめな男ほど一旦遊びを覚えると危険というのは、本当じゃあのう」と、なにやら意味のあるようなないようなことをいいながら、ノートにペンを走らせる。
「何だよ、有力な情報って。」
ため息交じりのエフスキーに、フェローラは返す。
「ハインは、弱点を変えられるんだ。それを見破る能力があるのが、学者なんだってさ。」
一同、イストリアンをじっと見る。
「見破れるのか、こいつに?」
イストリアンはノートを広げ、返す。
「そのため、今、わしは集めた情報を整理しているのじゃ。ハインが弱点を変えることなど、先刻ご承知じゃ。」
ノートの中身は、ハインをはじめとした各種モンスターの弱点や性質を書きとめたもの。
「で、フェローラの情報の出所は?」
エフスキーがいうと、フェローラは返す。
「ハインに操られなかった、アーガス城の兵士からなんだけど。」
「それと同じこと、俺も聞いたぞ。」ハーロウが次ぐ。「ハインの世話をしているラミアと、護衛にあたるデュラハンから。」
「女性型モンスターにしかもてない男」の属性は、こういうときに役に立つんだなと思いつつ、エフスキーが次ぐ。
「ハインの側近から聞き出したとなると、信用できる情報だな。」
「ところで、その弱点はなんだろう?」
フェローラが言うと、エフスキー、しばしの間ののち、返す。
「それは…。」
「それは…?」
「女性だ!」
「女性!?」
エフスキー以外の三人は、顔を見合わせた。それにはかまわず、エフスキーは推理小説のラストで、被疑者を犯人に断定する事柄を指摘するかのように、続ける。
「ハインは、真面目一方の神官だった。神官は、禁欲生活を送らなければならない。ほとんどの宗教がそうだ。だな、イストリアン。」
「ハインが真面目一方の神官じゃったことは、複数の証言がある。」
イストリアンは、いつの間にか、『シャーロック・ホームズ』シリーズのジョン・ワトスン役になり、エフスキーの説を補強する。
「それに、ラミアとデュラハンとは、まともに目をあわせられないって、さっき振り切ってきたラミアが言っていたぞ。」
ハーロウが次ぐと、こくりとうなずき、エフスキーは続ける。
「目も合わせられないほど異性と接するのが苦手だということは、このアイテム、「エッチなほん」を使えば、勝てる!」
エフスキー、鞄の中からこちらの世界で言うところの、青年向け漫画雑誌を取り出した。
「エッチなほん!?」
「…それ、次のシリーズで出てくるアイテムじゃあ…。」
フェローラが突っ込むと、ハーロウは、返す。
「そんな小さいことにかまっていられるか。勝てばいいんだよ。ハインをやっつけて、アーガスの王様やトックルのみんなを解放するんだ!」
「ナイトらしくない発想だな。でもその前に…、どういう内容か見てみよう。」
「見てみよう。」
彼らも10代後半のお年頃。異性に興味がある。
というわけで、対ハイン戦。
情報どおり、ハインは強かった。神官だけあって魔法はばんばん使ってくる上、真面目一方の神官だったとは思えない剣のさばきで、前衛で力任せに剣を振り回していたハーロウは、何度もピンチに陥ったが、そこへイストリアンがすかさず弱点を見抜き、エフスキーの魔法とフェローラの一撃が決まる。じわじわとだが、双方ともダメージを受けてはいる。
「くそっ、こうなるんだったらもう少し剣術、教わっておくんだった。」
ハーロウの言葉に、フェローラが返す。
「いまさら後悔してどうする。こうなったら、やるしかない。」
イストリアンが、瓶底眼鏡のレンズを光らせ、大声をあげた。
「エフスキー、今じゃ、奴は弱点を変えたぞ!」
「よし。受けてみよ、お前の弱点は、これだぁ!」
ばっと「エッチな本」のグラビアページを開いた、エフスキー。
と、その瞬間。骸骨としか思えないハインの両方の鼻から、鮮血がほとばしった。
「うぉっ、な、なぜお前ら、俺の弱点を知っている…!」
イストリアンが例のノートを広げ、タンカを切る。
「平素の行動、言動を記録しておいたからじゃ!日々の研究、たゆまぬ情報収集。これぞ学究の人生!」
このやり取りの間も、鼻血は止まらない。
「…悪いが、ちり紙を持っていないか。鼻血が止まらない。」
「まったく、仕方がないな。ティッシュぐらい持っていろよ。紳士のたしなみとして。」
「済まんな。手持ちはみんな、使い切ってしまったんだ。」
困った人は放っておかないナイトのハーロウが、呆れ顔で、どこから引っ張り出したのか、ポケットティッシュを渡す。その中には「出血大サービス」「等価交換」と書かれたパチンコ屋のものも混じっている。
「さぁ、気を取り直して立ち回りだ!」
剣を構えるハーロウ、ファイティングポーズをとるフェローラ。魔法による支援体勢に入るエフスキーと、イストリアン。
ハインはちぎっては詰め、ちぎっては詰めを繰り返しているが、ティッシュはあっという間に赤く染まる。
「こ、これでは戦闘に集中できない…。」
鼻血という、思わぬトラブルの中での立ち回り。出血しているのだから、体力の消耗も激しいはずだ。
ついに、ハーロウが何もしていないのに、いきなりハインは床に膝をついた。剣を杖代わりにし、肩で息をしている。
「も、もう戦えない。」
骸骨なので顔色はわからないが、他の露出した部分は、青白くなっている。このままでは出血多量で、失血死をきたしかねない。
「お…、おま…えら、謀った…な。俺が女性に耐性がないと知って…。」
「そうだ!」ハーロウが、仁王立ちで返す。「このまま鼻血が止まらず失血死するか、それとも俺の剣で止めを刺されるか。どちらか一つを選ばせてやる。」
「は、鼻血が止まらず失血死などという、恥ずかしい最期だけは遂げたくない。頼む、何とかして鼻血を止めてくれ!」
「鼻血なんか、止めを刺せばついでに止まらぁ!」
ハーロウがハインの首筋に、今まさに剣を振り下ろそうとした瞬間。
「見える…、見えるぞ。そなたらのもう一つの姿。」
「な、なんだ…?」
ハインの間に入ってきたのは、視力がないかわり、予知能力を有したグルガン族の占い師。
「なぜ、グルガン族の占い師が…。」
エフスキーがつぶやくが、占い師はそれにかまわず、続ける。
ハーロウも気おされて、剣をおろした。ハインはそれどころではない。
「もう一つの世界のそなたらが、来る。」
「もう一つの世界…?」
エフスキーが返したのとほぼ同時に、紺色制服に制帽姿の男が二人、入ってきた。しかもハーロウとエフスキーにそっくり。しいて言うならエフスキーの髪の色が黒くなっただけだ。二人とも一列に並んだ金ボタンで、短剣程度の長さの棒をベルトにつけ、見慣れない革鞄を右腰につけている。ハーロウに似た一人は同じく左腰前につけた黒い箱に、同じ色の線でつながる、左肩につけた小さい四角な箱に話し、エフスキーに似たほうは、四人を下がらせ、ポケットからゴム手袋を取り出して着用し、ハインの応急処置を始める。
「こちら熱川。現在鼻血が止まらずショック症状をきたしている男性を発見。容態は…(ハインを見て)、一人で立てない。どうぞ。」
「鼻血が出たからといって、鼻の穴にちり紙などを詰め込むのは、誤った応急処置だ。とにかく、鼻をつまんで下を向いていてください。」
清水がハインの応急処置にあたっている間にも、熱川は110番指令と交信を続ける。
「熱川了解。」
「おい熱川、どうだ。」
エフスキー似の男に熱川と呼ばれた男は、返す。
「鼻血とはいえ、出血でショックをきたしているから、救急車を手配した。そろそろ来るだろう。」
「そうか、わかった。」
それから、熱川がくるりと向きを変え、四人のほうへやってきた。
「どうしてあんな大出血になったか、事情を知っていますか。」
四人とも、顔を見合わせる。
「雑誌のグラビアを見せたら、ああなったんです。」
エフスキーの答えに、熱川は、不審そうな顔で返す。
「雑誌のグラビアで鼻血だと…?見たところ…、殺陣で鼻を殴っちまったんじゃあないか。」
ハインが、代わりに答える。
「それは、本当だ。雑誌のグラビアページを見たら、いきなり、このような体たらくになった。」
清水が言う。
「のぼせ性かなにかで、頭に血が上っていたのかもしれないが、脳血管系の病気の可能性も否定できないね。とにかく、出血性ショックを起こしているから、救急車を手配して正解のようだ。」
しばらくたって、水色の服を着た男たちによってハインは担架に乗せられて、去っていった。熱川と清水も、つきそう。
「な、何だあれは。」
ハーロウが言うと、占い師が返す。
「あれは、もう一つの世界でのそなたら。ハーロウ・アイゼンハートは熱川進、エフスキー・ラズームは清水清司と名乗り、世のため人のため、時に体を張り、時に命を賭ける職業につく。見よ、この水晶玉を。」
水晶玉をのぞき込むと、ハインは耳鼻咽喉科の診察台に座らされていた。
「…なあんだ、たいしたことないじゃあない。鼻血がとまらないというから、脳血管の動脈瘤か静脈瘤が破裂したのかと思ったけど、単に動脈が切れただけね。血管を焼いて止血しておいたから。」
こういうのは当直医の、犬飼高美。専門は外科だが、耳鼻咽喉科もわかる。
側らにいる、『シャーロック・ホームズ』シリーズで有名な医師、ジョン・H・ワトスンだといっても通じる立派な鼻ひげを持つ、脳神経系担当の湯浅昭弘が次ぐ。
「CTスキャン、MRI、レントゲン、総て診ましたが、動脈瘤、静脈瘤の類はないので、安心してください。」
「しばらくの間、鼻を強くかむことは控えてくださいね。あと、鉄分も多く摂取してください。輸血するほどではありませんが、かなり血が出ていましたから。あとで増血剤をわたしておきます。」
看護婦の鳴海悠子に言われて、ハインは返す。
「は、はあ…。」
犬飼は、不思議そうな顔をして言う。
「だけど…、なんで動脈が切れたんだろう?相当強い衝撃を受けないかぎり、こんな大出血、しないはずだから…。」
「全く、人騒がせな鼻血だよ。犬飼さん、どうやら殺陣の最中に手元が狂って、ぼかっと一発やっちまったらしいですね。」
熱川が言うと、犬飼が返す。
「ああ、なるほど。それなら納得できるわ。」
清水が次ぐ。
「鼻血だといっても、出血が続くとバカにはできないってことだな。俺が小学校のころ、サッカーでボールを顔面ブロックした奴が鼻血を出して、一時間近くたっても止まらないから、救急車を呼んだことがある。それと同じだね。」
「もう一つの世界の、俺たちか…。」
ハーロウが言うと、フェローラが次ぐ。
「俺とイストリアンは、どうなっているんだ?」
画面は変わり、山の中、伐採された跡地に苗木を植える男の姿が映し出された。
「フェローラ・グッドフェローは、園田方也となる。木を植え森を育て、治山治水に働く男として、活躍する。」
「木を植え、山を守る男…。俺らしくないなあ…。」
「らしい、らしくないはもう一つの世界の自分が決めた道。こちらが干渉することはできない。そしてイストリアン・ジーバ。そなたは宮村市定と名乗る、学者である。」
「わしゃあ、ほとんど変化なしか。」
水晶玉の中身は、どこかの書庫で、蔵書点検に精を出すイストリアンこと宮村の姿。宮村の服装を除けば、ほとんど変化がない。
占い師は、しめくくる。
「そなたらのもう一つの世界での姿、どうであったか。」
「どうであったかもこうであったかも、ねえ…。」
「ハインはどうなっちまうんだよ。」
とそこへ、ハインが戻ってきた。もちろん、熱川・清水の二人がつきそっている。
「もう、大丈夫です。」
ハインが言うと、熱川が返す。
「無理しちゃあいけないよ。まだ顔色が悪い。」
「ここへ戻れば、あとはなんとかなりますので。」
ハインが返すと、事情を察した清水は熱川を促す。
「では、我々は失礼します。お大事に。」
「殺陣をやるんなら、もう少し気をつけろよ。下手すれば過失致死罪になるからな!」
二人が立ち去るのと同時に、ハーロウが剣を構える。
いつの間にか、グルガン族の男は消えていた。
「まだ、やる気か。」
ハインは手で制し、言う。
「君らは、本来敵であるわたしが出血多量で死ぬところを、助けてくれた。」
「助けたって、俺がティッシュを渡しただけだぜ。回復魔法を使ったわけじゃあねえし…。」
ハーロウの言葉に、エフスキーが次ぐ。
「もう一つの世界の、俺たちのことを言っているんだよ。」
ハインは、続ける。
「そのことに対し礼を言うと共に、邪な心に負けたわが身が、恥ずかしい。神官という身でありながら、このようなことを起こしたからには、責任を取らなくてはならない。」
「どう責任を取るっていうんだよ。」
ハーロウが言うと、エフスキーが返す。
「責任を取るということは、今すぐアーガス王以下、この城に囚われている人々を解放し、長老の木を元に戻す。そうですね。」
こくりとうなずき、ハインは次ぐ。
「それをやってからは、どうなるかわからない。復讐に燃える人々によって処刑されようが、獄につながれようが、わたしはかまわない。それが、運命なのだから。」
ハインは言ったとおり、城に囚われていたすべての人を解放し、長老の木を元に戻した。が、そこから先の彼については、いかなる史料も触れていない。が、彼が神官として一からやり直すべく、放浪の旅に出たという点では、共通する。
それから数日後。
ギサールの村の宿屋で、四人は新たな旅立ちに向けて、準備していた。アーガス王から永久機関「ときのはぐるま」をもらい、飛空艇も復活した。ただし、着水しかできなくなったが。
「これで、一件落着というわけか。」
ハーロウが言うと、フェローラが次ぐ。
「ハイン戦はどうなるかと思ったけど、もう一つの世界の俺らの姿っての見せられて、驚いた。あっちの世界でも、ハーロウとエフスキーがコンビを組んでいるんだからね。」
「わしゃあとりたてて変化がないが、エフスキーもいざというときには命を賭け、体を張る職業についているとはのう…。」
イストリアンが次ぐと、エフスキーが返す。
「俺達は、世の平穏な生活を守る、警察官という職業についているんだ。あっちの世界は、俺らの世界とはまた違った仕組みなんだ。」
ハーロウが返す。
「もう一つの世界の俺から、あっちの仕組みも少し勉強してきたから、世界が平和になったら、サスーンやアーガスの王様に進言しようかって考えているんだ。」
ハイン戦の決着がついてしばらくたってから、また、例の占い師がやってきて、もう一つの世界の四人に会わせてくれた。そのとき、意外なことに、イストリアンではなくハーロウが熱川に、もう一つの世界について根掘り葉掘り聞いている。
「お前らしくないな。」
「そうか?」
とそこへ、ドアをノックする音が。
「誰だい。」
「入っていい?」
フェローラがドアを開けた瞬間、青い髪に同じ色の鎧の女剣士と、ブロンドの一見すると水商売系の若い女が、入ってきた。
「な、何の用ですか。」
「あ〜!!」
ほぼ同時に、女剣士と若い女、それにハーロウが大声をあげた。
「なんだよ、騒々しい。」
「あのときのデュラハンとラミア!」
「しっ、声が大きい。あたしたち、人間に化けているんだから。」
「そのラミアとデュラハンが、何の用で来たんだ。」
エフスキーがいうと、ラミアが返す。
「あたしたち、助太刀しようと思ってずっと戦闘を見ていたんだけど、ハインが鼻血を吹いて戦闘不能になったとき、「エッチなほん」のどのページを見せたのか、気になってさ。」
「ああ、それね。このページ。」
エフスキーが開いて見せたのは、水着姿の美女数人が、南の島でロケを張った写真。
「こ、これだけで鼻血…。」
思わず絶句する四人。
エフスキーが言う。
「もう一つの世界では、これは「青年誌」というんだそうだ。対象年齢はちょうど俺らぐらいから上だってさ。これを見せて鼻血を吹いたといったら、四人とも笑っていたな。」
ラミアが次ぐ。
「だから、女性に対して抗体がないって言ったのよ。赤くなったり青くなったりするのが面白いから、よくからかって遊んだけどね。」
ラミアが言うと、デュラハンが次ぐ。
「これで鼻血を吹いて戦闘不能…。我らの入浴シーンや、着替えシーンを見たら、ハインは毎回鼻血を吹かなければならない。仕えるべき主君を、間違えたのかもしれないな、我々は。」
「デュラハン、ラミアの着替えと入浴シーン…。どうやって着替えるんじゃ。どうやってデュラハンは髪を洗うんじゃ。ハインの城にはラミアが入れるサイズの浴槽があったのか?」
学者・イストリアンの知的好奇心に火がついてしまった。見たい。ぜひとも見たい。ラミアの入浴姿。デュラハンの洗い髪姿。下心はないが、見てみたい!
接近するイストリアンに、デュラハンの峰打ちとラミアの平手打ちが決まる!
「何をするか!」
「こんの変態っ!!」
「こういうのを、もう一つの世界では強制わいせつ罪という。立派な犯罪だ。」
「わしのは探究心から出た行動であって…。」
「探究心からの行動でも、相手の了解を得てからでないとだめだ。」
ハーロウがイストリアンに説教している側らでは…。
「いくら男を誘惑するのが習性だといっても、こっちにだって選ぶ権利があるんだからね!」
「騎士の我に対し、よくも無礼な振舞をしてくれたな。今回は知的探究心とやらでやったというから大目に見てやるが、次やってみろ…、無礼討ちにしてくれるわ!」
怒るデュラハンとラミアを、フェローラと共になだめすかして送り出しながら、エフスキーは頭痛を覚えていた。
もし、ハインがハーロウ並の精力や、イストリアン並の知的好奇心を持っていたら、女性に対する耐性もつき、相当の苦戦を強いられていたに違いない。よかった、ハインが神官で。それも真面目一方で。
これからのボス戦、どういう展開になるのか。一抹の不安を抱いた、パーティーのお目付け役だった。
おわりに
当初の構想では、ハイン鼻血騒動で、「白昼夢」シリーズの宗村・高村・守村トリオや犬飼・鳴海ペアが登場し、エフスキーが犬飼に「エッチなほん」の出所を問いただされて窮地に立たされたり、高宗守トリオがハインの応急処置にあたることになっていましたが、「もう一つの世界」から、元になったキャラクターのところへ一時的にやってきて、去っていく形にしました。「デュラハンの恋」で省略した、対ハイン戦を扱った、外伝的存在でもあります。ですが、デュラハンとラミアは、デューラとミアではありません。別のペアです
ハインが「エッチなほん」で鼻血を吹き、戦闘不能になるというネタは、FF7の同人誌で、ラスボス戦でティファの下着を見たセフィロスが、一発で戦闘不能になるという話を読んだときに思いつきました。鼻血が止まらず救急車を呼んだのは、筆者が小学校のときに同級生が、清水のセリフとまったく同じシチュエーションで起こした、実話です。
ちなみに「エッチなほん」はFFIVで出てくるアイテムです。セシルかエッジに、エフスキーがもらったのでしょう。こちらの世界の青年誌レベルということにしましたが、それだけで鼻血を吹いて戦闘不能になるハインは、女性に対して何かトラウマでもあるのでしょうか。それに、イストリアンが平手打ちと峰撃ちを食らう原因になった、デュラハン、ラミアのお着替えシーン、入浴シーンを見てみたいと思うのは、筆者も同じだったりします。