夜間警ら中の高村巡査・宗村巡査

重垣:「激動の昭和彩った、あの日の姿、今ここに」を合言葉に、正確な着装の再現を行い、持っている制服を利用して防犯パトロールに協力する、コスプレ集団・レイヤーズ。今回は詰襟サーベル装備の昭和10年式巡査制服姿で警らする、高村・宗村コンビをVIPERさんに描いていただきました。
宗村:前回は昭和43年式制服でしたが、今回は時代がさかのぼって、昭和10年制定の巡査制服です。
高村:昭和後半に生を受けた我々は、帯革に装備をつける、背広式制服の昭和43年式が一番記憶に残っていますが、明治から昭和20年までは、数次のモデルチェンジがありますが、詰襟で銀色のサーベルを吊った姿が、警察官の姿です。
宗村:よって、その姿を再現したわけでもあります。実物は何回も触れているように、物資欠乏期の酷使や経年劣化で残っている確率が低いので、学生服を仕立て直しています。
高村:レイヤーズが防犯パトロールに協力しはじめたころは、この姿で警らしています。が、さすがに詰襟が警察官制服だとわかる世代は少ないので、学生に間違われて、折襟ネクタイ、帯革に装具をつける、昭和21年式以降に統一することになりました。これは、詰襟式制服で最後の警らに出た日の姿です。
宗村:一抹の寂しさが、あったけどね。トラブルが起こるんじゃあ、仕方がない。その最たるものが、「トンデモ設定」だから。
重垣:あれですか。レイヤーズ顧問の宗村夏実さんが書いた短編小説ですよ?
高村:ええ、そうです。あれは我々が実際に遭遇した事例を基にしています。相手は何もしていないのに、深夜徘徊の高校生に間違われたうえ、いきなり拳銃を突きつけてきたんですから。
宗村:で、聞けば17歳で私服刑事、所属は「広域警察署」で警視庁管内ならどこでも捜査できる部門。呆れて物も言えませんよ。
高村:警視庁本庁に、各警察署から要員を抽出して捜査本部や専従の対策室を設けるのが普通でしょう。これだけでも、OMCのタイアップ企画のシナリオライターが無知だということがわかります。
宗村:それに、拳銃の使用を定めた警察官職務執行法では、発砲できるのは懲役3年以上の刑が科せられる犯罪で、警察官本人や第三者が危険にさらされた場合のみです。それ以外は威嚇のため拳銃嚢から出すことはできても、発砲できません。深夜徘徊の高校生に拳銃を突きつけるなんて、信じられないシナリオです。
高村:しかも誤認逮捕までやっている。こうなると懲戒免職、諭旨免職にならないだけ奇跡だ、としか言えませんね。
宗村:確かに、今回我々が着ている制服の時期、昭和19年には特例で17歳から採用できるようにしましたよ、戦争による慢性的欠員補充難を解消するため。ですが実際に採用したところは、制服姿の事務職員で、採用時警察官と同じ訓練を受け、20歳になるのを待って巡査として採用する、警察官候補生の通称「少年警察官」の勤務成績優秀な者から抜擢しています。それに、未成年者は内勤か機動隊の前身である警備隊に配属し、単独勤務はさせないこととしています。私服活動などさせていません。
高村:国家一種の制度を云々する以前に、一般警察官はもとより、海上保安官などの特別司法警察官の職務について定めた警察官職務執行法や、日本国籍を有していない者は特別職公務員にはなれない国籍条項を知るべきですね、タイアップ企画のシナリオライターは。
重垣:(このままでは、タイアップ企画に対しての悪口大会になりかねないぞ…)ところで、話題は変わりますが、なぜサーベルを押さえているんですか?
高村:実際のところ、長さ70センチ以上のものを腰から吊っているので、ぶらぶら揺れて、歩きづらいんです。
宗村:なので、普段歩いているときは、刀を左手で押さえている場合があります。左腰に雨傘の柄を挿して歩いてみれば、わかりますよ。
高村:実際、事件発生を目撃して、現行犯逮捕すべく容疑者を追おうとした警察官が、佩刀に足をとられて転倒したという事例もあるんです。
重垣:それは、本当ですか。
高村:ええ、実話です。さらに、警ら中に転倒した弾みで鞘から刀身が飛び出し、腹部に刺さって失血死という話もあります。
重垣:すごい話ですね。ところでお二人が吊っている刀は、刃引きの巡査刀ですか。それとも真剣?
高村:さすがに我々が装備しているのは、刀身はプラスチックです。実物は重いです。金属の棒を振り回すのには、相当体力がいります。守村が一撃必殺の居合を選んだ理由がよくわかりますし、結核を患っていた沖田総司が、時代小説に描かれているような剣戟を見せたとすれば、それだけ体力を消耗させ、死期を早めたのかもしれません。
宗村:日本刀は本来両手で扱いますが、巡査刀や軍刀は、片手で扱わなければならない場合もあるので、日本の剣術に加え、フェンシングの要素を交えた片手操刀術という独自の剣術を陸軍戸山学校が編み出しています。そのため、刀緒という、専用の革紐がついています。これは木製警棒にも受け継がれています。おっと、だいぶ話題が反れましたね。
高村:ま、これは余談ってことでね。
重垣:(時計を見て)時間も時間ですし、そろそろお開きにしますか。
宗村:では、重垣さん。いつものセリフ、お願いします。
重垣:わかりました。このイラストは、管理人がオーダーメイド・コムを経由し、クリエータのVIPERさんに描いていただいた作品です。
高村:総合的著作権はオーダーメイド・コム、キャラクター原案権は原作者に帰属します。
宗村:よって、無断転載、無断引用は、禁止します。
重垣:著作権には、十分注意しましょう。