三等航海士 高村宗光
うた
〜連絡船の詩〜

重垣:守村鉄道公安官に続き、「連絡船の
高村:青函連絡船摩周丸乗組、三等航海士高村宗光です。今年(2007・平成19)年は、守村公安官が言ったとおり、国鉄がなくなってから20年ですが、平成20(2008)年は、青函連絡船、宇高連絡船がなくなってから20年になります。今回小職は、士官の三等航海士に扮しています。
重垣:士官というと、少尉以上の軍人を指すのではないんですか。
高村:現在でも海員は、航海士、機関士など海技士の資格を持つ者を士官と呼ぶ慣行があります。小職は、ペーパー・ドライバーならぬ、ペーパー・シーマンですが、海技免状を持っているので、年相応の三等航海士になりました。
重垣:へぇ。どれぐらいの船が動かせるんですか?
高村:海技免状…今では海技従事者免許といいますが、これも車の普通一種、大型一種、大型特殊…のように種別があって、青函連絡船のような5千トン級は、遠洋航海もできる一級海技士でないと動かせません。小職の持っているのは、沿岸漁業で使う漁船や、タグボートを動かす六級海技士です。
重垣:それでもすごいですよ。取る機会も少ないですから。では本題の、制服の話に移りましょう。高村さんは航海士ですが、他の部門も含めて、連絡船の職員は、どういう服制だったんですか?
高村:昭和30年の10月に制定されたこの制服は、高級船員が着るダブルの制服を意識し、三つボタンダブルの上着に、同じ色のズボンです。制帽の記章も、国鉄の動輪に船を意味する錨をデザインして、鉄道部門や公安官と区別させます。
袖章で所属部署と等級を識別させます。航海部は金色、通信部は緑色、機関部は紫色、事務部は白色を使っています。操舵員などブリッジにいる者、出改札や接客にあたる事務部は、海技免状なしの乗務員でもこのデザインの制服を着られますが、甲板員、機関員、函館、青森の桟橋で貨車航送やロープのうけわたし、タグボートでの支援に当たる者は作業服です。海技免状を持っていない、宗村が着る場合は、事務部か、函館、青森のさん橋助役、船員区助役ですね。
重垣:『白昼夢』シリーズの「ある日のお台場デート」で出てきた、羊蹄丸の中にある情景が、再現できますね。
高村:小職は江戸弁でタンカを切り、宗村は会津なまりで返す…なんて絵になりますよ。
重垣:ところで、昭和30年制定ということは、それ以前、洞爺丸台風や紫雲丸事故のときは、どんな制服だったんですか?
高村:洞爺丸、紫雲丸以前は、鉄道職員と同じ制服で、袖章だけ別個のデザインでした。よって、洞爺丸、紫雲丸のときは4つボタン開襟式の、昭和23年式制服ですし、戦時中は詰襟式です。
重垣:ところで、今回の背景は、「津軽海峡冬景色」の青函連絡船摩周丸ですが、鉄道連絡船は「讃岐うどん」の由来にもなったといわれる、宇高連絡船もあります。確か、讃岐丸の食堂でうどんが出たのを「ディスカバー・ジャパン」の青春18きっぷで旅して歩いた人たちが広めたと聞きましたが…。
高村:讃岐丸以外の連絡船でも、うどんは出ましたよ。高松には「連絡船のうどん」を復刻した店がいくつかありますが、JR四国は、国鉄時代にめんを納入していたところとは別個のところから仕入れています。何があるんでしょうかね。それに、つゆのレシピがわからないので、正確な復刻版は出ていません。
重垣:ああ、青函連絡船の「海峡ラーメン」が懐かしいです。
高村:海峡ラーメンは、「連絡船のうどん」ほど有名になれなかったのが残念です。
重垣:そういえば、青函連絡船は「津軽海峡冬景色」ですが、宇高連絡船の歌はありませんね。
高村:宇高連絡船そのものの歌は知りませんが、瀬戸内海の島から島への連絡船なら、「瀬戸の花嫁」があります。連絡船の発着を知らせる歌として、宇野と高松駅で実際に流されていましたから、関係があります。温暖な瀬戸内海を、静かに、1時間で結ぶ宇高連絡船と、難所でもある津軽海峡を突っ切って、函館まで4時間近くで結ぶ青函連絡船では、自然と歌の中身も変わるでしょう。
重垣:青函連絡船は別れの歌、宇高連絡船は結婚の歌、航路によって差がありますね。(時計を見て)さて、そろそろ締めですね。
高村:青函、宇高以外にも、下関とプサンを結んだ関釜連絡船、今も運航を続ける、宮島―宮島口航路などがあります。それに、大湊の海軍要港部から派遣された海軍軍人が操る、13ミリ機銃、7.7ミリ機銃だけしか持たない状況で、湾外退避の最中、機銃掃射で次々と沈められた昭和20年7月13日の青森空襲、世界第2位、日本海難史上最悪の洞爺丸事故、多数の修学旅行生が犠牲になったことで、本四連絡橋建設のきっかけになった紫雲丸事故など、忘れてはならない連絡船の記憶があります。機会があったら、そちらの話もしたいですね。
重垣:このイラストは、管理人がOMC
を経由し、クリエーターの漆沢貴之さんに描いていただいた作品です。無断転載、無断リンクはお断りします。
高村:著作権には、十分留意しましょう。