あの日の記憶、昭和12年の交差点
〜高村宗光巡査〜

重垣:「三丁目の夕日」シリーズのシチュエーションのひとつ「交通整理」。今回は昭和10年式制服姿で交通整理にあたる高村巡査の姿を、漆原貴之さんに描いていただきました。
高村:前回は、博物館ボランティアとして交通誘導にあたる姿を梅丸藤堂さんに描いていただきましたが、今回は、映画の撮影に協力しています。
重垣:映画の撮影ですか。いつ公開されるんですか?
高村:残念ながら、劇映画ではありません。啓発映画です。われわれレイヤーズが登下校の時間帯、交通安全指導に協力している地区の交通安全協会が、交通安全意識の啓蒙のため、自動車出現から現在に至るまでの、歴代の交通課警察官の勤務を描いた映画を作る話になり、歴代の制服を持っているレイヤーズが、昭和年間で協力することになりました。それに、平成6年以降はレイヤーズ・メンバーで現役さんでもある、熱川君、夏実さんが出演しています。
重垣:「本領発揮だ、レイヤーズ」の映画も力が入っていましたが、今回もすいぶんと凝った作品なんですね。背景からして作りこんでありますね。
高村:ええ。時代考証は、なんたって警察史を専攻する犬飼先輩がいますからね。OBの回想を元に綿密に行っています。ロケハンも、映画のセットを借りています。
重垣:ところで、なぜ昭和12年なんですか?
高村:今回、タイトルに昭和12年と入れたのは、制服の換装が終わる予定だった年だったからです。似たような制服の明治41年式も含めた昭和10年代で、戦時色の濃くなる時期までなら、いつでもよいのですがね。
重垣:背景には、ボンネットバスやダットサン号、それに日本ライセンスの戦前型ハーレーの陸王が走っていても、おかしくないですね。
高村:いや、それどころか、九四式自動貨車やくろがね四起、演習帰りの九四式軽装甲車、九五式軽戦車、九二式装甲車なども走っていたってかまわない話になります。さすがに実車がないので、映画では出せませんでしたがね。さらに、詰襟式の昭五式軍服姿の歩兵中隊が、教官の「軍歌演習。『歩兵の本領!』」の号令で、「万朶の桜か襟の色…」と歌いながら通り過ぎていってもよいのですが、さすがにそこまで出演者を集められなかったので、没になりました。
重垣:襟章は歩兵第1連隊、第3連隊だったら、面白いかもしれませんよ。昭和11年として、2.26事件の決起部隊と暗喩するとか…。
高村:機会があったら、演習帰りの歩兵中隊は、レイヤー仲間に声をかけて、やってみたいですね。それはともかく、このあとも自分をはじめとした、レイヤーズのメンバーは出てきます。自分は、敗戦の衝撃と戦災の焦土から立ち上がる昭和20年代と、高度経済成長とモータリーゼーションのひずみが出てくる昭和40年代でも出ています。それに、交通違反の取締りと事故捜査が主体になり、交通違反、特に市街地での違法駐車が社会問題化した時期に、交通課所属の制服姿の事務職員として採用された婦人交通巡視員を含む、「婦警さん=交通課」の図式ができた昭和40年代後半〜50年代には、レイヤーズの女性陣が交通安全教室や、駐車違反の取り締まりにあたる婦人警察官・交通巡視員として出てきます。さらに、男女雇用機会均等法が改正されて、婦人警察官が深夜勤務につけるようになった昭和61年以降は、高美会長が白バイ隊員として出演します。
重垣:それにしても、「激動の昭和彩った、あの日の姿、いまここに」のレイヤーズらしい、渋いシチュエーションですね。太陽が西から昇り、雪が真夏に降るような設定のタイアップ企画の連中には、まず演じられないでしょう。さて、そろそろいつものセリフに移りましょう。さて、このイラストは、管理人がオーダーメイド・コムを経由し、クリエータの漆沢貴之さんに描いていただいた作品です。無断転載、無断引用は、禁止します。
高村:著作権には、十分留意しましょう。