独立短編企画
〜狙撃〜
シグナレィディがハシリーヤらM.U.Dの面々に捕らえられた。
「ふははは、どうするシグナレィディ。」
ハシリーヤに拳銃を突きつけられて、シグナレィディはピンチ。たまたま居合わせた森川あずさ巡査、守村義衛巡査は相手が相手だけに増援を呼んだが、まだ来ない。
このままでは、3人が危ない。
森川は、言う。
「いちかばちか、やるしかないわね。義衛君、拳銃貸して。」
狙撃が得意な森川だが、地域課ならいざ知らず、交通執行課所属の婦人警察官が拳銃を持つことは、ない。
時間稼ぎをするのだという森川の言外の意味を察した守村は、帯革につけた予備弾とともに拳銃を渡す。
シグナレィディが自由を取り戻せば、5対5になる。さらにアンゼンジャーや増援が来れば、形勢は逆転する。
銀色に輝く回転式拳銃は、スミス・アンド・ウエッソンM1917。日本では警察用拳銃として使われている。
「これだと、当る位置によっては将軍の指も射ち飛ばしかねないわね…。だけど仕方ない。」
守村が次ぐ。
「あいつの指がなくなって、困るのはM.U.Dの連中だけだからな。」
11.43ミリでは、今回の場合威力が大きすぎる。森川が使い慣れている9ミリのコルト・ディテクティブの2インチモデルか、ペアを組む宗村夏実のニューナンブの2インチモデルがこの場合最適の威力で一番いいが、止むを得ない。
森川は安全装置を外し、狙いを定める。
「死ね、シグナレィディ!」
ハシリーヤが、シグナレィディに向けた拳銃の撃鉄を起した。
(今だ!)
森川は、引き金を引いた。狙いはあやまたず、銃身と輪胴の接合部分に当り、ハシリーヤの手から銃をはじき落とした。
「何者だ。」
発射音のしたほうを向き、ハシリーヤがわめく。イーハンズやレディ・ピラニア、大虎仮面は身構える。
二人は、物陰から出る。
森川は、撃鉄を起し、いつでも撃てるようにしながら、言う。
「千葉西警察署交通課巡査森川あずさ、狙撃の女神の名にかけて、お前らを蜂の巣にしてやる。」
ついで守村が威圧効果を狙い、腰の警棒吊りから警棒を抜きはなち、刀のように扱い、タンカを切る。
「やい、ハシリーヤ、おとなしくしろ。千葉警察署巡査守村義衛、軍隊なきあとの治安の要の意地、見せてやる!」
守村が平素寡黙なのは、こういう時のため、言葉をとっておいているのかもしれない。居合は一撃必殺なので、タンカを切るとすばやく警棒吊りに戻す。
「何を。かかれ者ども!」
ハシリーヤがわめく。そこへ来て森川がもう1発、こんどは大虎仮面の足元めがけ、お見舞いする。
「今のは警告射撃。残りの弾であんたたち全員、方をつけたっていいんだよ。」
シグナレィディは二人の出現で混乱している隙にロープを解き、攻勢に転ずる。
「よくも乙女の肌に、ロープの跡をつけてくれたわねぇ!」
なるほど狙撃の女神というタンカは、脅しではなかった。森川の一撃必中の弾は、守村やシグナレィディを支援する。守村は、森川の狙撃で見せた相手の隙をつき、急所を外した無駄ない一撃必殺の攻撃で、KOしている。彼が居合を選んだのは、熱川、清水のような体力勝負では不利だからだ。
立ち回っているところへ、下座のお囃子が流れる。
「なぜ、こんな時に寄席のお囃子が…?」
守村が言うと、シグナレッドが返す。
「アンゼンジャーが来たのよ!」
「来たのか、アンゼンジャー。」
あとはM.U.D対策専門のアンゼンジャーに譲り、守村、森川の二人は退くが、いつでも攻撃に出られるよう、拳銃に予備弾を装填し、腰の警棒に手をやる。