トラフィック戦隊・アンゼンジャー外伝
〜活躍、守屋シスターズ〜
千葉西警察署警務課勤務、M.U.D対策室兼務の、180センチの長身と怪力で知られる、守屋ジュン・衛子の「似てない双子」が、地域課の応援で住宅街を警らしていると、物陰からばらばらと出てきた戦闘員に取り囲まれた。
「イーハンズじゃあないわね。」
よきライバルにして憎めない悪役、M.U.Dの戦闘員イーハンズは、どこからかちょろまかしてきた各種の交通標識を覆面に使っている。が、今目の前にいるのは、戦隊物の下っぱでございというデザインの銀色のボディースーツ。典型的な悪の組織の戦闘員だ。
「だとすると、新顔か?」
「イー!」
二人が状況を把握できないでいるのを見て、戦闘員が襲いかかってきた。
とはいえ、ジュンは柔道、衛子は剣道の有段者と腕に覚えがあるし、ブルー・ユニッツのジュンとエーコにも変身できるから、戦闘員など敵ではない。
ところが…。
「なんでこうも、数が多いんだよ。」
「しかも、イーハンズなら撤収するレベルで攻撃しても、まだ襲いかかってくる。」
すでに何人かノックアウトしているが、それでも戦闘員は襲いかかってくる。戦闘員の数は、10人以上。イーハンズは三人しかいないから、M.U.Dとは別組織だ。
「今回の相手は、手ごわいね。」
「しゃらくさい、変身するか!」
シグナレィディスタイルの守屋シスターズ。クリックすると拡大されます。
エーコは、ルミナーバトンをかまえ、言う。
「イーハンズならあたしたちが変身しただけで退散するけど、連中は動じないわね。」
戦闘員は、変身ヒロイン風のいでたちになったジュンと衛子を見て、一瞬動揺したが、また隙を見ては襲いかかってくる。M.U.Dなら、「いかん、二人を本気にさせてしまったぞ。M.U.D対策室は何をやってくるかわからん。退却だ!」と逃げ出す。事実M.U.D対策室のメンバーは、このシリーズで触れているように、所属はおろか、時空さえも超越して出向している者がいるから、なおさらだ。
「怪人が来るまでの時間稼ぎか。それともあたしらを疲れさせようってのかい。」
「増援を呼んだほうが、よさそうね。」
エーコのルミナーバトンには、緊急事態を知らせる発信装置がついている。これを作動させれば、他のM.U.D対策室の室員が応援に来る。
無論、ジュン・エーコの発信した信号を、M.U.D対策室の全員が受信した。
一番近い位置にいたのは、付近を徒歩で警らしていた、地域課所属、幕張メッセ前交番勤務の高木聖大巡査と、神奈川県警横浜水上警察署から出向中の清水清司巡査部長の二人だった。
「ジュンと衛子からだ。」
「パトロール中に、何かあったに違いない。」
二人が走っていくと、ジュンと衛子がシグナレィディスタイルになって、戦闘員と戦っている。
「予想通りだ。」
熱血漢の高木は、腰の警棒を抜き放ち、タンカを切ると同時に手近の戦闘員の頭に一発食らわせた。
「やいやいてめぇら、おとなしくしろぃ!」
その姿を見て、戦闘員が動きを止めた。
清水が次ぐ。
「天下の公道で騒ぐ、不届き至極な連中め。清水清司、義によって助太刀いたす。」
ジュンとエーコ、高木と清水で、戦闘員を挟み撃ちするような形になった。
「高木君に清水君!」
「ジュンとエーコがピンチだって情報が入ったから、すぐに駆けつけたんだ。」
「まもなく、他の室員も来る。」
増援部隊の到着に、戦闘員は混乱する。
四人になれば怖いものはない。あっという間に戦闘員全員、ノックアウトしてしまった。
「いったいこいつら、何者なのよ。」
「公務執行妨害の現行犯で、身柄を確保しておこう。」
四人が相談しているところへ、マッチョな男の体にトラの頭を乗せた怪人がやってきた。しかも筋肉質のボディを目立たせるかのように、上半身は裸で、プロレスラーがはくようなパンツ姿、緋色のマントを翻している。一歩間違えば、変質者だ。
「大虎仮面とは、違うわね。」
「あいつはあんなにガタイ、よくないもの。それに、紺色のニッカボッカに腹巻姿だもの。」
「しかもメーカーにはこだわりがあって、寅一でないとだめなんだってさ。」
「それにしてもあいつ、変質者か…?」
四人に対し、怪人トラ男は虚勢を張る。
「ふははは、ブルーユニッツ、よくやったな。だが俺は、戦闘員とは違うぞ。」
こう言うなり、ジュンとエーコに襲いかかったトラ男。いくら怪人といっても、本気になった四人にかなうわけがない。
「よく周りを見てから物言いな!」
ジュンのボディーブローがクリーンヒットすると、間髪をいれずにエーコのルミナーバトンの三段突きが来る。
このコンビネーションプレイにふらふらになったトラ男に、さらに追い討ちをかけるかのごとく、清水の胴払いと、高木の一撃が決まる。
四人をただの警察官だと思ったトラ男に後悔するいとまも与えず、ノックアウトしてしまった。
道路上に長々と伸びたトラ男を見て、清水が、
「タイガーマスク、マットに沈むといったところか。」
というと、ジュンが次ぐ。
「戦闘員のほうが、まだ骨があったね。」
とそこへ、サイレンを鳴らした白バイとミニパト、警ら用自転車がやってきた。白バイは交通機動隊兼務で、ブルー・ユニッツのリーダー格の犬養高美巡査部長、ミニパトは交通執行係兼務の、警視庁墨東警察署から出向中の辻本夏実・小早川美幸コンビと、ブルーユニッツのメンバー、生活安全課所属の成見悠子巡査長。それに警ら用自転車に乗ってきたのは、時空と所属を超えて出向してきている、幕張メッセ前交番勤務の三人。詰襟制服サーベル装備の昭和10年式制服の甲田雅一郎巡査、帯革で装具を吊るスタイルになった、四つボタン背広型、逆V字の階級章が左腕につく昭和27年式制服の曽根史郎巡査と、素人目にはポケットのデザインしか変化のない、五つボタン開襟の、昭和21年式制服の佐々木久雄巡査だ。
「何じゃ、もう決着はついておるのか。」
甲田が言うと、犬養が次ぐ。
「ジュンとエーコが変身したっていうから、手ごわい相手かと思ったんだけどね。」
「だったら一言いってよ。これだったら、容疑者輸送のバンで来ないと。」
これは夏実。
「今、呼んでいるところよ。」
ニトロ噴射機能つきトゥディの中から、美幸がいう。
犬養が次ぐ。
「身柄を確保したら、悠子の出番ね。」
成見は、臨床心理士の資格を持ち、それを生かして警察技官として入ったが、思うところあって警察官に転出している。取調べでは、人の心を読む心理学がものをいう。
かくて、M.U.Dが増援として呼んだ悪の組織は、ジュンと衛子、二人の活躍によって、もろくもついえてしまった。
千葉西警察署警務課勤務、M.U.D対策室兼任、守屋ジュン巡査、守屋衛子巡査長。二人の怪力姉妹の活躍は、続く。