「城北の青き疾風」犬飼高美の学科教習
第1段階
信号に従うこと


はじめに

犬飼:小学校の交通安全教室で、「赤は止まれ、黄色は注意して進め、青は進め」と教えるのは子供向けに簡略化したからで、本当は違うのよ。鉄道の駅構内では同じ色の灯火の向きや数、船は港や海峡では電光標示のアルファベットで区別させるけど、自動車はそれほど複雑ではないから、よく覚えておくように。
もっとも、鉄道の
ATCのように、運行指令が定めた速度以上を出すと警報音が鳴ったり、ATSのようにリミッターがかかるようなシステムが自動車に導入されるといいんだけどね。

信号に従うこと

犬飼:自動車、原付二輪、歩行者、軽車両。道を使う人はみんな全て信号に従わなくてはならない。信号は、灯火を使った信号機と、警察官・交通巡視員の手信号、灯火による信号の3種類ある。もっとも手信号は、事故で壊された信号柱の復旧工事が終るまでとか、停電、火災や事故・災害現場で非常線を張っている場合などの非常時にしか見られないけどね。そうそう、法律では、警察官と交通巡視員を総称する場合、「警察官など」と標記しているから。その点、注意してね。あと、自分の目の前にある信号に従うこと。1つ前は青だから前進するなんてのは「見切り発車」で厳禁だからね!

灯火の信号

犬飼:灯火の信号は、青、黄色、青の明滅、青の矢印、黄色の矢印の明滅、黄色の点滅、赤の点滅の7種類ある。赤の矢印なんて存在しないから、気をつけてね。
青の灯火
歩行者と軽車両:進むことができる
自動車と路面電車:直進、右左折ができる
原付二輪で2段階右折の標識がある交差点:原付二輪は歩行者、軽車両と同じく右折する地点まで前進する。
原付二輪で2段階右折の標識がない交差点:付二輪も自動車と同じ右折方法で曲がることができる。
犬飼:「進め」ではなく「進むことができる」になっているわけは、歩行者が横断歩道にいたり、対向車が来ていないなら進んでよいという意味なんだ。だから右折する場合は直進車の妨害をしてはならないし、曲がった先の横断歩道に歩行者がいた場合は、止まらなきゃならないんだ。2段階右折しなければならない交差点は、3レーン以上あるところと、2レーンでも「原付は2段階右折」の標識があるところです。交差点で右折レーンができて3車線になる場合も3車線扱いになるから、2段階右折でまがらないと危ないわよ。事故予防の観点からも、気をつけてね。
黄色の灯火
歩行者:横断を始めてはいけない。横断中の場合は速やかに渡りきるか、一旦引き返す。(歩行者用信号の青の点滅と同じ扱い)
車・路面電車:停止位置より先へは進めない。ただし、交差点内に進入した瞬間黄色に変わったなど、安全に停止できない場合はそのまま進むことができる
犬飼:交差点の中や直前数メートルで黄色に変わって、急ブレーキをかけるしか止まる方法がない場合や、交差点内で止まってしまう場合、止まると4輪車なら追突、二輪車なら転倒の恐れがある場合はそのまま進んでもいいんだけど、止まれるだけの距離がある場合は、赤信号と同じく止まったほうが無難ね。まかり間違っても黄色信号なのにアクセル踏んで赤信号で通過なんてやっちゃだめよ。立派な信号無視だから
赤の灯火
歩行者、車、路面電車不問で「止まれ」。歩行者は横断してはならず、車、路面電車は停止位置を越えて前進はできない。ただし、
交差点ですでに左折中の自動車・路面電車:曲がった方向の信号が赤でも進むことができる。
交差点ですでに右折中の自動車・路面電車:曲がった方向の信号が赤でも進むことができるが、青信号で進んでくる車・路面電車の妨害はしてはならない。

ただし、原付二輪で2段階右折を指示されている場合は、右折方向の信号が赤である場合は、右折した地点で停止する。
青の矢印の灯火
車は矢印の方向に進むことができるが、2段階右折を指示された交差点の原付二輪と軽車両は、右折できない。
黄色の矢印の灯火
路面電車のための信号。歩行者、車両は進んではならない。
黄色の灯火の点滅
歩行者、車、路面電車ともに、他の交通に注意して進むことができる
赤の灯火の点滅
歩行者:他の交通に注意して進むことができる
車:停止位置で一時停止し、安全を確認したのち進むことができる
犬飼:引っかけ問題では「黄色の灯火の点滅は、徐行して進むことができる」になっていたりするから注意するように。設置する場所も選んであるから、スピードを落とさなくてもよいわけ。あと、赤の点滅信号は、一時停止の標識と同じと考えていいわね。基本は自転車、歩行者も車と同じ信号に従うんだけど、歩行者用信号があれば、歩行者はそれに従わなければならないし、「歩行者・自転車専用信号」とあれば、自転車もそれに従うことになる。「○○専用信号」という表示板がついている信号は、指定された人や車はそれに従うことになるのよ。
青の矢印の灯火の信号は、セパレート信号といってね、直進や右左折が、青ではすべてできない交通量の多い交差点で使われているんだ。このばあい他の信号は全て赤になっているから、事故を起す心配はないので、徐行はしなきゃいけないけど、一時停止しないでどんどん前の車に続いて進まないと、追突されるから。あと、踏切前に「踏切専用」とある場合、青の灯火なら踏切に一時停止せずに進入できるから、そのまま一気に渡りきるのよ。


警察官・交通巡視員による信号

犬飼:「はじめに」でもいったように、警察官などによる信号は非常時なんだ。いざというときに混乱しないように、しっかり覚えておくように。
手信号
腕を水平に上げる
警察官などの正面に平行する交通は、青の灯火と同じ扱い
警察官などの身体の正面に交差する交通は、赤の灯火と同じ扱い
腕を垂直に上げる
警察官などの正面に平行する交通は、黄色の灯火と同じ扱い
警察官などの身体の正面に交差する交通は、赤の灯火と同じ扱い

灯火による信号
灯火を横に振る
警察官などの正面に平行する交通は、青の灯火と同じ扱い
警察官などの身体の正面に交差する交通は、赤の灯火と同じ扱い
灯火を頭上に上げる
警察官などの正面に平行する交通は、黄色の灯火と同じ扱い
警察官などの身体の正面に交差する交通は、赤の灯火と同じ扱い
犬飼:難しく書いてあるけれども、顔や背を向けている方向、腕を垂直に上げた場合は赤信号、腕を水平に上げたり、誘導棒を振っている方向は青と考えていいわね。仮免、本免許試験ともども、よほどひねくれた問題でない限り、図入りで「このような警察官の手信号のとき、矢印の方向から来る交通に対して、信号機の青色の灯火と同じ意味である」といった感じで出るから

〔出題例〕「このような警察官の手信号のとき、矢印の方向から来る交通に対しては、信号機の青色の灯火と同じ意味である」

あと、余談だけど、未だに仮免・本免許試験で出る手信号の警察官の図では、一世代前のデザインで、帯革を装備しているんだ。平成
6年のモデルチェンジで、制服の中に隠すようになったんだけどね。

信号機の信号と異なる手信号の場合

犬飼:事故や火災現場で交通規制が行われている場合などに見られるシチュエーションね。交差点で、正面の信号は青信号なのに、サイレンとパトライトつけた消防車が右折してきて、目の前に立っている警察官は止まれと指示する。この場合は警察官の指示に従うこと。いい、警察官が信号、標識、標示と異なる指示を出した場合は、警察官の指示に従うこと。一方通行を逆走してよいといったら、そこを走ってもよい話になるわけ。出題例では、「赤信号でも工事現場のガードマンが進めと合図したので、交差点を直進した」というのがあるわね。これは×だから。似たような制服を着ていても、警備会社の交通誘導員、地方自治体職員の交通指導員には権限がないんだから。逆に、「交差点の信号は赤だが、警察官が進めと指示したので、交差点を直進した」は○になる。そうそう、交通巡視員と交通指導員、交通誘導員の違いはコラムで解説したから、そっちを読んでほしいな。

左折可の標示がある場合

犬飼:信号や道路に「左折可」の標示がある場合は、信号が赤でも左折できるんだけど、歩行者など回りの交通に注意して左折すること。横断歩道に渡っている人がいたら、一時停止すること。いい、わかったわね!問題では、「左折可」の標示と「一方通行」、「右左折禁止」の標識の図を出して、「これは左折可の標示である」「これは一方通行の標識ではない」と聞いています。「右左折禁止」は円ですが、「左折可」と「一方通行」は形も似ているので、混乱しやすいわよ。

見切り発進の禁止と残存歩行者の保護

犬飼:ひとつ前の信号が青になったから、そのうち目の前の信号も青になるだろうとブレーキをゆるめ、半クラッチやクリープ現象で前進するのは、「見切り発進」といって、禁止されているから。事故の原因よ。それから、信号が青に変わっても、左右をよく見て、黄色信号でもむりやり突っ込んでくる車、横断歩道を渡りきれていない人、あわてて走りこんでくる人や自転車がいないか確認してから前進しないといけないわよ。隣りの車が動かないと思ったら、まず残存歩行者の存在を疑ってかかったほうが、身のためよ。あと、先発確認といって、交差点で先頭になった場合は、左右を確認しないで発進して、2台目3台目が右直事故、巻き込み事故をやった場合は、先頭車両も責任を負うことになる可能性大だから。左右の確認も忘れないように。
あと、信号が青でも、渋滞していて交差点を抜けられない場合は交差点内に進入してはならないから。これも忘れちゃあだめよ。


おわりに

犬飼:以上、「信号に従うこと」を説明してきました。信号を守ることは常識だと思っていても、「黄色は注意」といった間違った予備知識にまどわされないように。