白昼夢
社会人編
〜処刑されちゃうぞ…?〜


警察官や軍人など官庁系制服のコスプレを得意とする、硬派なコスプレイヤーの集団、コスプレ集団・レイヤーズは、歴代警察官の制服姿で防犯・放火予防のパトロールを行っていた。
制服姿…といっても、警察官の旭日章では法律に引っかかる可能性があるので、帽章は中央に「交」の文字のある交通巡視員のもの、ボタンは金色無地、階級章の旭日章部分は銀星…と、制服のカタログに載っているものに替えてある。それに、鳴海の勤務している警備会社の制服は、女性は昭和
51年式、男性は昭和43年式の一世代前の警察官の制服によく似たデザインなので、そのままで巡回してもらっている。
巡回するのは、昭和
10年式詰襟制服の宗村巡査と高村巡査、21年式折襟四つボタン制服の湯浅警部補、同じく32年式制服の実藤巡査部長、43年式の有沢巡査、鉄道公安官の大滝公安係、宗村・高村と同じ制服の、機動隊の前身である特別警備隊に扮した熱川、清水、園田、宮村のカルテット、それに歴代婦人警察官の制服姿の犬飼警部(昭和21年式)、渋川巡査(32年式)、高見巡査(46年式)、鳴海巡査部長(昭和51年式)の「婦警戦隊・ブルーユニッツ」に、アメリカの警察官に扮したティファニー、村瀬頼子に桐田かおる(制服は鳴海に同じ)、鳴海の勤務する警備会社からレイヤーズつながりでやってきた、内藤武士警士部長と近藤衛恵警曹のコンビや森川あずさ警士、各務まゆみ警手、守村義衛警士…の総計22名である。
もちろんなにかあったら大変なので、増援を呼ぶための無線機や防犯ブザー、高村・宗村コンビは刃引きの巡査刀、他の拳銃装備の面々は警棒とガス・ガンも持っている。現役警備員の面々は、相手に危害を加える可能性のある武器はもてない警備業法の関係で、ガスと弾は抜いてある。


警ら中の高村巡査、宗村巡査
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昭和51年式警察官のものに似た制服の上に、帯革で警棒を装備した各務を見て、同じぐらいの年恰好の小柄なメガネっ娘、桐田と村瀬が、
「かっこいいな〜」
「あたしも、第一線で戦えるぐらいの力があればな〜。」
と言いあうと、各務は、
「あずさや衛恵さんには体力で負けちゃうから、あたしは得意の瞬発力でがんばってるのよ。かおるも頼子も得意分野でがんばってみたら?」
と返したので、桐田は、
「あたし達は武ばったことは苦手だから、内勤事務でがんばるわ。あたしは似顔絵を描くの。」
というと、頼子が継ぐ。
「あたしは調書作成。」

この地区を所管する警察署に勤務する宗村夏実巡査が、巡回途中に顔を出して、本部でどっしりかまえている犬飼に
「こう見ると、高美さんは署長といっても通じそうね。」
というと、彼女は笑って
「署長といったら…、湯浅の御大のほうが似合いそうね。」
と次いだので、湯浅が返す。
「まあねえ、俺の着ている制服の昭和の
20年代ぐらいだと、まだまだ警部補や警部の警察署長がいたしね。」
「ところで高美さん、なにかあった?」
夏実巡査が言うと、犬飼は返す。
「今のところ、異常なしよ。なにかあったらすぐに教えるからさ。」

一方そのころ…。
サークル「悪魔の宅急便」のエロ同人作家
A(仮名)の住んでいるアパートへ、現行制服と、それとは微妙に違う制服の警察官が数10人単位でどやどやっと踏み込んできた。
「エロ同人作家の
Aだな。」
だれだって、いきなり案内も請わず人が入りこんでくればびっくりする。いったん立ちあがった
Aは、入ってきた面々を見てぺたんと座り込んでしまった。というのも警官隊は軽機や自動小銃、拳銃を手にしていて、しかも全員が彼に狙いをつけているのだから。
黒髪ショートカットで制服のワイシャツ腕まくり、長身の婦警が言った。
A、お前を逮捕する。」
「た、逮捕ってなに容疑で…?」
Aが言うと、緑色のショートカットで黄色いバンダナを巻いた婦警が、胸元に軽機の銃口をつきつけて返す。
「あたしを汚したからだよ。この婦女暴行犯、人間のクズ!お前があたしや利緒、夏実や美幸をレイプそのほか性犯罪としか言えないような目に遭わせたことを忘れたのか。これから貴様を射撃練習の的にして、貫通銃創と盲管銃創を観察してやるからそう思え!」
Aは青くなった。
(こいつらは…、狂信的ファンサークルの墨東署特高課だ…。俺がエロ同人
CG集でネタに使った、『逮捕しちゃうぞ』に加えて『バーンナップ・エクスプレス』のキャラ達だ……。夏実はMG42を持っているし…、真弥はM60か…?)
墨東署特高課は『逮捕しちゃうぞ』をはじめとした、婦人警察官が出てくる作品を熱狂的に応援するあまり、キャラレイプ物エロ同人のネタに使ったエロ同人作家を襲撃、心理的・物理的に書・描けなくする……という恐ろしいサークルで、彼の目の前には辻本夏実に小早川美幸、甲子園利緒に神宮真弥…といったそれぞれの作品の主戦力ヒロインキャラに加え、背後には男性陣が控えている……。女性は全員、彼が描いたエロ同人
CG集で、レイプそのほか性犯罪としか言えない目に遭わせたものばかりだ……。
Aが机の上をふと見ると、目の前には塩のビンがあったから、投げつけて一同がひるんだすきに逃げようとしたが、墨東署特高課はエロパロ同人作家の最後の抵抗には慣れっこなので、なんなくナツミとリオが男性陣の手を借りることなく、
「おとなしくしろ。」
「見苦しいぞ!」
と捕縄と手錠でしばりあげてしまった。

「さあ、とっとと歩け!」
「俺は架空の世界でやったんだ。実際にやったら犯罪になるってわかっているんだ。それをなんだお前らは。現実世界で復讐するなんておかしいぞ!」
Aがわめくと、ナツミは蹴飛ばして、
「黙れ、ヘボエロ同人作家。お前らは一回痛い目に遭わなければ、一生かかったって被害者の気持ちはわかんないんだよ!」
とタンカを切ると、リオが次ぐ。
「これから貴様の右腕をへし折って、あたし達が受けた精神的被害をわからせてやる!」
「そんなメチャクチャな話があってたまるか!?」
墨東署特高課が
Aを銃で小突き、蹴飛ばしてむりやりアパートから引きずり出したところへ、黒い詰襟5つボタンの制服に制帽、サーベルを吊った二人の男が現れた。
詰襟制服にサーベルという、昭和
10年制服の巡査の正体は皆さんご存知、おりしも防犯パトロール中の高村宗光・宗村高光コンビ。
ちょうど二人が四つ角を曲がったところで、アパートの前でいやがる男をむりやり車に乗せようとしているから、
「おい高村、ありゃあ誘拐じゃないか!?」
「大変だ、今すぐ止めないと!」
と急行してみれば、なんと墨東署特高課が暴れているではないか。
「おいこらお前ら、その男をどうする気だ、放さなかったら逮捕監禁の現行犯で逮捕してやるからそう思え!」
高村が言うと、ナツミが返す。
「こいつはあたし達を汚した罪で処刑するんだ。ごちゃごちゃ言うとお前らも道連れにしてやるからな!」
すると高村は、
「もう一度言う。その男を放せ。放さなかったら逮捕監禁の現行犯で逮捕する!」
と言いながら
Aのほうへ進もうとすると、マヤとナツミは持っている軽機の引き金を引いたからたまらない。さすがにガス・ガンだったが、至近距離からBB弾の雨あられはたまったものではない。
「うわっ、やむをえんムネさん、抜刀、応戦!」
「おうよ!」
相手が武器を使ったのだから、応戦するのはやむをえない。当時の武器使用の規定には、「多衆聚合シテ暴行ヲ為シ又ハ為サントシ、其ノ状況急迫シテ武器使用ノ外ニ之ヲ鎮圧スルノ手段ナキ場合」(大正
14年内務大臣訓令)とあるが、今の状況はまさにそれだ。
高村が抜刀して
Aを解放するべく突進すると、宗村は携帯無線を取り出し、増援を呼んでから続く。
「こちら高村・宗村班。現在誘拐事件に遭遇、交戦中。直ちに増援を請う!」

詰所では、時計を見た通信担当の村瀬が、
「今夜は、なにもなさそうですね。」
と言ったので、同じく通信担当の桐田が、
「今日は寒いから、巡回から戻ってきた人達に煮こみうどんを出すのよね。」
と言ったところへ、内藤警士部長やパンツ・スーツ型の制服に警察用散弾銃をもったティファニーを先頭にして、
「いや〜、寒いねえ。」
「冷えてきたわ…」
と言いながら三々五々巡回から戻ってきたので、二人はうどんを鍋からどんぶりによそう。
「国鉄名物のうどんだね。」
守村が言うと、鉄道公安官の大滝が返す。
「もともと宇高連絡船讃岐丸の食堂でうどんを売っていたのが讃岐うどんの始まりだって、讃岐丸乗組みで今は高知駅の売店でうどんを作っているおばちゃんからきいたけどな。」
すると鳴海がうどんを食べる手を休め、
「国鉄で思い出したけど、ムネさんや高村君は遅いわね…」
と次いだところに話題にのぼっていた宗村から、
「現在誘拐事件に遭遇、交戦中!」
という連絡が入ってきたので、犬飼は指令を発する。
「レイヤーズは直ちに現場へ急行し、総力をあげて被害者を解放せよ。それから頼子、今すぐ警察に連絡を!」
「わかりました!」

「増援が来たわよ、夏実!」
「レイヤーズが来たようね。だけど、今度という今度は復讐、成功させてみせる。」
墨東署特高課は機関銃を持ったマヤとナツミを中心に、リオ、二人のミユキ、ヨリコ、アオイに男性陣が拳銃や自動小銃を撃ちまくり、レイヤーズを寄せつけない。相手はメカフェチにガンマニア、体力魔神がいるから、軽機や自動小銃を持っているのはあたりまえだが、ミユキやヨリコの持つ拳銃も、普通の
9ミリ、7.65ミリなわけがなく、マグナムやデザート・イーグルといった、11.43ミリの威力のあるシロモノ。しかもナツミとマヤは退却支援担当なのか弾やガスがなくなったときに備え、腰にはトンファーのような特殊警棒を装備している。
対するレイヤーズはあくまで史実にもとづいたコスをするのが身上。装備規定にない武器を持つことは禁止されている。だから宗村・高村コンビは佩刀しか持っていないし、犬飼、鳴海、渋川、高見は接近戦を得意とするので拳銃は持っていない。しかも拳銃・警棒装備のメンバーが持っている警棒は、昭和
25年から平成6年まで使われた木製で、銃は、湯浅が米軍から払い下げられた大日本帝国陸軍の14年式拳銃、実藤が同じく米軍払い下げのコルト・ガバメント、有沢、内藤、大滝、守村がニューナンブ、森川がコルト・ディテクティブ、熱川・清水・園田・宮村と各務はコルト・ブローニングで、長物はティファニーが持っている警察用散弾銃しかない。なぜ湯浅が14年式拳銃を持っているかというと、昭和21年に警察官の武器が拳銃に改められたとき、アメリカからの第2次大戦使い残りの拳銃がくるまで、連合国軍が接収した旧軍拳銃をつなぎとして使っていたからだ。
一方災難なのは
Aで、さっきまでは銃で小突かれ蹴飛ばされていたのが、レイヤーズが銃で応戦するようになると今度は、
「おら、ひざまづけってんだよ!」
と無理やりひざまづかされたうえ機関銃の台座代わりにされ、四方八方から
BB弾が飛んでくるからたまったものではない。
「いてっ、あちっ、ひえ〜!早く終わってくれ〜!」
自宅が近い熱川が、本業は模型屋の高村の依頼で作った大日本帝国陸軍の
11年式軽機を事態打開のため持ってきて、
「これで反撃しましょう!」
といったから高村が、
「よし、軽機、射程
300。目標、敵軽機手、射て!」
と軽機班長よろしく号令すると、すでに射手として清水が配置についていて、
「目標、敵軽機手!」
と復唱すると引き金を引いた。

「相手も軽機を持ち出したわ。」
ナツミがいうと、マヤは返す。
11年式軽機なんか怖くはない。すぐに故障するって。」
事実、頼みの綱の軽機は実銃と同じく、数
10発撃ったところで弾詰まりを起こしてしまった。11年式軽機はすぐに故障するので、歩兵分隊泣かせのシロモノだったのだ。
「うを、しまった。軽機故障!」
清水が叫ぶと、高村がわめく。
「なんたって実銃と同じ故障を起こすんだよ!」
11年式軽機の故障頻発をあらかじめ知っている湯浅は、あわてずさわがずに次ぐ。
「弱点射撃で対応しろ!」
弱点射撃とは、顔や手など露出している部位を狙い撃つもので、レイヤーズが得意とする精密射撃である。
「あちっ!」
MG42を腰だめでぶっぱなしていたナツミの顔面に、森川が狙いすまして放った一発が当った。
「おっ、やったぞ!」
宗村が言うと、森川が次ぐ。
「ムネさんの仇はったわよ、なんてね。」
すると、ナツミが、
「顔は女の命なのよ!」
と叫んだので、
BB弾の雨あられをやられた宗村が返す。
「なにをぬかすか。こっちは顔といわず体といわず、メチャクチャに撃たれたんだぞ!!」
火力では圧倒的に勝っている特高課の面々も、レイヤーズの狙撃としかいえない着弾にはもてあまし気味だ。
実藤が、
「劇団夜回りから機動隊を呼んだほうがいいかもしれない。このままだと夏実さん達が来る前に逃げられるかもしれません!」
と言うと、犬飼は返す。
「せめて防盾があるといいんだけどね…。」
軽機を修理しながら清水が、
「機動隊のコスにすればよかったかな。」
とつぶやくと、熱川が、
「おのれ墨東署特高課め。こうなったら斬り込み隊として逮捕のさきがけとなるか。」
といって警杖を握りしめたので、隊長格の高村は血気にはやる部下をなだめる。
「やめとけやめとけ、防盾があるならともかく、詰襟制服でやみくもに突進したって、さっきの俺やムネさんみたいに撃たれまくって戻ってくるのがオチだ。それより君らは拳銃があるんだから、一発でも多く撃って奴らの動きを封じてくれ。」
弱点を巧みに森川や守村が狙い撃ち、逃走できないよう時間稼ぎをしているさなか、有沢が、
「大変だ。
Aを車に乗せて逃げようとしているぞ!」
と叫んだので一同が見ると、特高課はそれまで盾にしていた
Aを車に押し込み、
「おらっ、とっとと車に乗るんだよ!」
「うわ〜、助けてくれ〜!!」
と、マヤとナツミをしんがりにして脱出しようとしているから、逃亡を防ぐため高村・宗村コンビはしばらく話しあっていたが、やがて高村が、
「犬飼会長、俺と宗村が、いちかばちかでカラーボールをぶつけます。熱川、清水、支援頼むぞ。行くぞムネさん!」
「おいきた!」
というなり二人は飛び出したので、湯浅は号令する。
「高村・宗村コンビを支援しろ!」
レイヤーズは持っている総ての火力をマヤとナツミに指向する。一方特高課は、
「カラーボールをぶつけられたら足がつくぞ、車に近づけるな!」
と高村・宗村に火力を向けたから、
「あだだ、いてて、だめだこりゃあ。カラーボールなんてぶつけられねえ!」
と、二人は
BB弾の雨あられ再びでカラーボールをぶつけるなんて話ではない。しかし、高村・宗村の突撃によって隙ができたのを犬飼は見逃さなかった。
「今だ、突撃前へ〜!」
犬飼が真っ先に飛び出して号令をかけると、それまで射すくめられた鳴海、高見、渋川のブルー・ユニッツや
2回もBB弾雨あられの目に遭った高村・宗村が突進し、それに負けじと銃を持っていた面々も警棒や警杖片手に続く。
それまでアウトレンジしてきたが、懐に飛びこまれてはたまらない。墨東署の面々は持っていた銃を振りまわして応戦してきた。
「くそ、応戦!」
しかし相手も伊達にキャラのコスしているわけではなく、銃を持たずとも戦闘力がある、退却掩護のリオやマヤ、ナツミ、ナカジマ、ショウジ、ナルオ…は主力になって向かってくる。
対するレイヤーズの主力は、近藤衛恵・内藤武士コンビ。内藤は向かってくるナルオを紙一重でかわし、懐深く飛びこんで警棒で確実な一撃を放つし、近藤は相手の腕を取るなりぶん投げ、体格の差を利用し、難なく取り押さえてしまう。
取り押さえるのはブルー・ユニッツの犬飼、鳴海、渋川、高見も負けてはいない。今回は宗村夏実を欠くが、鳴海と高見が前衛として攻めていき、相手を
KOさせると渋川と犬飼が捕縄でしばりあげていく。
その混戦の中で刀を合わせたナツミに、高村は、
「なんであんた達は、あたしを汚した相手を助けようとするんだい?」
と聞かれたので、彼は返す。
「確かに
Aは俺の好きな夏実を汚した。だけどな、俺らは現実世界の人の命に関わるようなときにまで、私怨を持ち出したりはしないのさ!」

レイヤーズの一同が撤退支援班にかかずらっている間に、処刑班のコバヤカワミユキとフジイデラミユキは車を発進させようとした。が、車は前へ進まなかった。一瞬早く近藤が、
「逃がしやしないよ!」
とバンパーをつかみ、辻本夏実よろしく足ブレーキをかけていたからだ。
もちろんそれを見た特高課の撤退支援班は、
「足ブレーキをかけさせるな!」
と衛恵を妨害しようとしたが、守村と森川、各務がそうはさせじと立ちはだかる。
「近藤警曹を支援しろ!」
「警備部警士森川あずさ、秩序を乱す輩には容赦しないよ!」
一方、車の中のコバヤカワミユキは、
「ここでつかまったら、今までの計画が水の泡よ!」
とばかりにアクセルを踏み込もうとした瞬間、いきなりエンジンキーを抜かれたのでふっと顔を上げると、現行制服の宗村夏実巡査が、ハンドルをしっかり押さえて立っていた。
「警視庁巡査宗村夏実、伊達や酔狂でこの仕事、やっているんじゃあないんだよ!」
すると、本物の夏実の同僚の早川美冬巡査が、実銃のニューナンブを片手に次ぐ。
「逮捕監禁と軽犯罪法違反、身分詐称の現行犯で逮捕する!」

あっちでは佩刀を手にした高村が
MG42を振りまわすナツミと対決し、こっちでは湯浅警部補がカチョウ課長と格闘、犬飼警部は指揮杖片手にカワサキ・マキとにらみあっている…という新旧実在架空のさまざまな警察官の制服入り乱れての混戦の中、レイヤーズ・メンバーが、
「おい、聞こえないか…?」
「警察のサイレンだな…。」
とサイレンの音に気づいて顔を上げると、警杖、防盾まで持った現行制服の警察官がばらばらっと走ってきて、先頭の川崎警部補が逮捕令状片手に言った。
「逮捕監禁と軽犯罪法違反の容疑で逮捕する!」

本職が来たら、レイヤーズの警察官が来るまで容疑者を現場で足止めする任務は終わったわけで、墨東署特高課を引き渡した。
BB弾とはいえ派手に数10分もどんぱちやったのみならず、大立回りまで演じたのだから、被害者のAや墨東署特高課はもちろん、逮捕に関わったレイヤーズ・メンバーも警察署で事情を聞かれてしまった。
墨東署特高課の面々は、逮捕されても、
「俺達はなにも悪いことをした覚えはない。性犯罪としか言えない目に遭わされた女性に代わって復讐をしただけだ。」
だとか、
「表現の自由をはきちがえて人権侵害をやる奴らに対して、警告を発しただけだ。」
などと言い、悪いことをしたとは認めなかった。
一通りの取調べを終えた夏実巡査が、取調室から現れて、
「特高課の連中、
Aを狙うために自宅、職場はおろか、いきつけの店までつけまわしたんだってさ。まったく、時代が時代なら天誅だなんだとやっていたような手合いね。」
と言うと、森川が次いだ。
「そういえば最近、パトロールのときあの近辺で怪しい車をよく見かけたわね。もしかしたらそれが…、墨東署特高課の車だったわけ?」
「かもしれないね。」
夏実が返すと、鳴海が言った。
「キャラが好き、作品が好きといっても、架空の世界で起こったことを現実で復讐するなんてゆがんだファン心理としか言えないわ。しかもコスプレして襲撃するなんて。」
すると、話題を変えるかのように渋川が、
「高村・宗村コンビはサーベルだけで銃を持った相手に向かっていくなんて、さすがは抜刀隊の末裔だけはあるわね。」
と、高村・宗村コンビの猪突猛進をほめたともけなしたとも取れないことを言うと、高見が、
「衛恵さんもすごかったな。ほんとに足ブレーキするんだから。『逮捕しちゃうぞ』だけかと思ってたのに…。」
と次いだので、衛恵はほおを赤らめて、
「あれは火事場のバカぢからですよ。」
と返したので、内藤が継ぐ。
「いや、衛恵はもっと手柄を誇っていいと思うぜ。なんたってあれで逃走を防いだんだからな。」
「それもそうかもね。」
「衛恵さんはいつも、自分の手柄を謙遜しちゃうのよね〜。」
「なかなかできないもんだよ、謙遜なんて。」
と、一同は衛恵の謙譲の徳でもりあがっていたが、守村が、
「なんで高村と宗村、君らは
Aを助けたんだ…?Aは、君らが好きな夏実や美幸、利緒や真弥を汚したんだぞ…。」
というと、高村は一呼吸入れてから返す。
「……。確かに、愛する夏実を汚した
Aは憎い。だけどな、目の前で人一人の命が関わっているときに、私怨を持ち出すようなことは…、俺らにゃできないんだ。」
宗村が次いだ。
「ま、これにこりたら
Aも、キャラレイプネタを描くときに、『見なければいい』の一言では片づけられない、作品を、キャラを純粋に愛するファンがいるってことを考えることだろうよ。毎回毎回過激ファンサークルに狙われたときに、僕らが助けに行けるとは限らないから。」
二人の言葉を聞いて、守村は考える。
(確かに謙譲も難しいが…、私怨を捨てて大義のため戦うのもそう簡単にはできない…。自分の考えに反するから相手を攻撃するのは簡単だ。だけど、二人が墨東署特高課に味方せず、敵である
Aを助けたのは、Aもどこかでは作品を、キャラを純粋に愛していると信じているからなのかもしれないな…。)