白昼夢
大学院編
〜コスプレサミットとレイヤーズ〜
鉄道員や警察官など、硬派路線の職業制服のコスプレをメインとするレイヤー集団、コスプレ集団・レイヤーズは、休憩スペースで一服していた。
入るときもらったパンフレットを見ながら、国鉄昭和41年式電車運転士の制服姿の高村が、
「…愛知万博で、世界のコスプレイヤーを集めてコンテストするんだって。」
というと、国鉄昭和41年式接客職種制服の宗村が、パンフレット片手に次ぐ。
「なるほど、コスプレサミットねえ…。だったら僕らは、大阪万博のころの制服姿で行くかい?」
「ええと、大阪万博は昭和45年、西暦だと1970年だから、国鉄は今着ている制服よね。」
昭和51年式婦人警察官制服姿の鳴海が言うと、宗村はつづける。
「全国の接客職種と電車・気動車運転士に、この制服が行き渡ったころだね。」
2
3、
4、
5
クリックすると拡大表示されます
鳴海と同じ制服姿の、犬飼がひきとる。
「警察の男性用制服は昭和43年式制服だけど、女性用は全国統一デザインはなかったうえ、万博のあった大阪は婦警制度を中断していたから、巡査としての採用を続けた警視庁から応援で行ったとしても、そのころの制服はOL服みたいなデザインの昭和32年式だったっけ。しいていうなら45年の8月に全国一律で交通巡視員の制服が決められているわね。あれは警視庁の昭和46年式に似ているから、それにする?」
すると、同じくパンフレットを見ていた鳴海が言った。
「残念!レイヤーズはコスプレサミットに参加できないわよ。」
「警察官制服は、法律に引っかかるからかい?」
宗村の言葉に、鳴海は続ける。
「ゲームかアニメ、漫画のキャラクターで、なおかつ自作していないとだめって書いてあるのよ。」
「職業制服が外されているのが、痛いねえ……。」
宗村が言ったところに、同姓のティファ・ロックハートに扮したティファニーが話に入ってきた。
「警察は法律云々もあるけど、職業制服は国が違うとわからなくなるのがあるんじゃないの?だけどゲームやアニメのキャラだったら外国でもわかるし。」
高村が言う。
「国が変わるとわからなくなる…。うーむ……。そしたら架空設定の『パトレイバー』はともかく、現在の日本が舞台の『逮捕しちゃうぞ』といった作品はどうなるんだい?」
「…警察官制服についての禁止事項は書いてないわね。自作で『逮捕しちゃうぞ』キャラに扮するんだったらOKになるんじゃあないかな?」
鳴海の言葉に、犬飼が返す。
「コスプレサミットのレギュレーションは、自作の定義をはっきりさせていないのが難点よね。仕立て直しがOKなら、OL服をもとにした、それっぽく見えるレベルの平成6年式制服で夏実・美幸ができるんだけど…。」
「僕らの衣装の中には、既存の品を仕立て直して代用しているものも、いくつかあるから。」
レイヤーズの身上は、史料になる正しい着こなしだが、守村の鉄建公団の作業服、宗村の林野庁の作業服、近藤・内藤ペアの機動隊の出動服など、制服によっては現物が手に入らないので、既存の品を利用し、それに近いものを製作する場合もある。
宗村の言葉に、鳴海がつぐ。
「『逮捕しちゃうぞ』はアニメ、ゲームにもなっているから、こじつければ、何とかなるかもしれないけどね…。」
「だけど、そこまでして出たいとは思わないなあ。」
高村が言うと、犬飼がつぐ。
「やりたいコスプレができないんなら、ほかのところでやろうよ。それが、レイヤーズだから。」
官庁系制服主体のレイヤーズは、コスプレサミットには傍観者としか出られない。だが、着る楽しみを知っているから、今日もまた、会場へ向かう。