白昼夢シリーズ第171話 ハシリーヤ将軍対レイヤーズ

白昼夢
社会人編
 レイヤーズ、アンゼンジャーと共演


某月某日、警視庁滝の川署の会議室。
歴代の警察官制服姿で管内の防犯パトロールをする、コスプレ集団・レイヤーズの会長・犬飼高美、区の交通安全担当の渋川あずさ、警察側担当の宗村夏実巡査の三人は、来るべき春の交通安全運動で子供向けに行うイベントの打合せを行っていた。
「今回は、「トラフィック戦隊・アンゼンジャー」を呼ぶことになったんだ。」
今回滝の川署は、東京モーターショーでも出演する、戦隊物を通じて交通安全を学ぶ、「トラフィック戦隊 アンゼンジャー」を呼ぶことにした。
ストーリーは、「交通秩序を乱すことで世界征服をたくらむマッド・ハシリーヤ将軍率いる悪の暴走集団マッドと、それを阻止する大安全マン・フラッシュとシグナレィディたちの「トラフィック戦隊 アンゼンジャー」との戦い」となっている。
高美は言う。
「あらすじでのマッド・ハシリーヤ将軍は、「自らの組織
M.U.Dをして世界征服をもくろむ悪の化身。史上最凶の走り屋と恐れられる札付きのワル」だけど、なんだか間が抜けていたわね。それに、レディ・ピラニアは、「別名『大アマゾンの女処刑人』、M.U.Dの姐御格」とあるんだけど、劇中では緊張感のない役柄だったわね。あたしがやったらハシリーヤ将軍をかすませる自信、あるんだけどねえ〜。」
くすりと笑い、夏実は返す。
「女帝の二つ名を持つ高美さんらしいわね。ええとそれで、盗んだ標識で顔を隠している戦闘員が、イーハンズね。」
あずさが言う。
「「停駐車禁止」、「その他の危険」、「止まれ」…これに新メンバーを加えるとしたら、何がいいかな?」
大虎仮面は…、「上半身が凶悪なベンガルトラである半人半獣の改造人間。アルコールを常食とし、飲酒しての暴走が唯一の趣味。大の阪神ファン」。守村君にぶつけたら、乱闘になりかねないわね。」
高美が言うと、あずさが次ぐ。
「「広島出身のわしは、広島東洋カープじゃい!」といった展開かしらね……。
2005年の日本シリーズは千葉ロッテと阪神だったでしょ、幕張メッセの隣りがマリンスタジアムで、モーターショーと会期が被っていたから、10月の22日、23日にはなんて演技したか見てみたかったわね。」
夏実が続ける。
「濃霧コールドの次の日の
23日と、阪神の4連敗で終った2930日の演技が気になるわね。さてさて、対するアンゼンジャーサイドは…、主人公は「大安全マン・F(実は、千葉県幕張署、安野全次郎刑事)あくまでも「交通事故ゼロの日」を目指す謎に包まれた正義のサイボーグ。パトカーを彷彿とさせるマッチョな肉体を誇る」…交通安全だから、交通課じゃないといけないんじゃあないかしらね?」
高美が引き取る。
「それは許容範囲のフィクションにしておきましょ。で、シグナレィディは…、新吾茜、葵、黄子の三姉妹で、父親は元警視総監ですってさ。」
あずさは、写真を見ながらつづける。
「シグナレィディの衣装は、「
Oh!モーレツ」みたいね。」
「あずさもそう思った?」
高美が次ぐ。
「葵と聞いたから、一瞬女装するあっちを思い浮かべたわ。」
「レイヤーズで出す?まあそれはそれとして、茜は「立ち止まって熟考するタイプ」、葵は「性格はイケイケ(死語)で、格闘技はプロ級の腕前」、黄子は「何事にも注意深い性格」。信号の意味する色ね。もっともモーターショーでの演技を見ると、黄子はボケに徹していたけれどね〜。」
あずさが言うと、夏実が返す。
「うーん、見てみたかったな〜。それに加えて、ハシリーヤ将軍の腹心で、今は改心したドクター・ヨイデガンスと、「エージェントの安室君」となるわけね。」
「マッドにいたときはワルデガンスだったというから、所属する組織によってはサイデガンス、ダメデガンスにもなるのかしらね?」
高美が言うと、あずさが次ぐ。
「ボーソーハ・ダメデガンス、ソーオンハ・イカンデガンスなんてね。」
高美が引き取る。
「大安全マンショーを見たとき、どたばたコメディの部分が多分にあったから、あたしたちが絡んだらさぞかし面白いかもしれないなと思っていたんだけど、それがほんとになるわけね。」
夏実は返す。
「交通安全協会の人たちも、レイヤーズとで組ませたら面白いだろうと言い出してね。呼ぶことになったんだ。」
「それなら、東京モーターショーと似たり寄ったりの台本じゃ面白くないわよ。せっかくレイヤーズが協力するんだから、ひねった脚本にしたほうがいいかもね。」
あずさが言うと、夏実が次ぐ。
「レイヤーズは歴代の警察官制服を着ているから、それを生かすわけね。」
滝の川署の防犯パトロール隊には、レイヤーズも入っている。歴代の警察官制服を着たレイヤーズの受持区は、一番事件事故が少ないという報告もある。
「じゃあ、オープニングから考えていこうか?」
高美は、一世代前の警察手帳に似た、鉛筆つき
B7版黒革表紙の手帳をポケットから取り出し、言う。
「構想を考えてきたんだ。こういうのはどうかしら…?」


安野刑事がピンチに陥ったそのとき、突如として白煙がたちこめ、視界が回復すると、詰襟制服と折襟背広型制服の警察官の姿が。
「なんだお前らは!?」
詰襟の昭和10年式制服姿の、守村義衛がタンカを切る。
「わしらはマッドの悪行を見かね、時空を越えてやってきた。広島県巡査甲田雅一郎、銃後治安の戦士の意地を見せてやるんじゃ!」
傍らに立っている、昭和21年式制服の高村宗光が次ぐ。
「同じく、自治体警察警視庁丸の内署勤務、巡査佐々木久雄!銀座の道は、マッドのものにはさせないぞ。」
昭和27年式制服の宗村高光が引き取る。
「同じく警視庁上野署勤務、曽根史郎!ベンチで二人がささやける、上野界隈の平穏を取り戻す。」
見ると、昭和初期〜30年代の交通整理中の写真から、警察官の姿だけが消えている。今目の前にいるのは、本当に抜け出してきたのか…?
ハシリーヤ将軍は、わめく。
「なにをごちゃごちゃわけのわからないことを言っている、イーハンズ、大虎仮面、やっつけてしまえ!」
イーハンズ、大虎仮面が三人に襲いかかる。
「やむをえん、曽根さん、甲田さん、応戦だ!」
「わかった!」

「…しゃらくさい、ハシリーヤなんか射殺しちまいな!」

ブルーユニッツのリーダー、タカミと曽根巡査、佐々木巡査、大ピンチのハシリーヤ将軍。
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なお、イラストは大吟醸さん、音声は朝倉満さん、ハシリーヤ将軍以外のキャラ原案は管理人、総合著作権はOMCが最終的に管理しています。


立ち回りに入る寸前、守村は安野刑事に向かい、言う。
「安野さん、ここはわしらが食い止める。今は体勢を立て直すんじゃ!」
とそこへ、レッドベレーに緑色の上下の男が、ボディースーツの一部を持って走ってきた。
「安野君、いまはいったん下がるんだ。」
「え、あなた何者…?」
安野刑事の手を引き、謎の男が下がっていくのを見て、守村は佩刀を抜く。
「銃後治安の戦士の意地、見せてやるわい!」
イーハンズと大虎仮面は高村・守村相手に立ち回りを演じているが、レディピラニアはいっこうお構いなしで宗村に近づき、いう。
「将軍様と、夜の上野公園のベンチでささやけるようにしてよ〜。」

「…なるほど。宗高守トリオは地でできる役柄で出るわけね。だけど、わかる人にしかわからないネタが多くない…?」
夏実が言うと、高美は返す。
「『機動戦士ガンダム』のセリフといった、お父さんお母さん向けのネタを入れてたんだから、おじいちゃんおばあちゃん向けもなきゃあね。」
「警察官一家で国文学をやったあたしだから、高美さんのネタ全部わかるけど、あずささんは?」
夏実が振ると、あずさは返す。
「うーん、レイヤーズのメンバーでなかったら、わからないかもしれないわね。それに、「銃後治安の戦士」って……。」
甲田雅一郎は、昭和
1415年前後の、瀬戸内とおぼしき半農半漁の村を舞台にした、駐在巡査の日記という形で話が進む井伏鱒二の名著、『多甚古村』に出てくる駐在さんの名前で、広島出身の守村なら、地で演じられる役だろう。佐々木久雄は漫才師獅子てんやの本名。瀬戸わんやとコンビを組む前は警視庁の巡査。丸の内署にも勤務していたことがある。曽根史郎は、同名映画の主題歌「若いお巡りさん」、「白いジープのパトロール」をうたい、映画では警察官役として出演している。そして「銃後治安の戦士」とは、日中戦争開戦以降の警察官募集に使われた文句である。
高美が次ぐ。
「そのへんは、素人さんには昔のお巡りさんと受け取ってもらえればいいわ。元ネタ云々は「おおきいおともだち」向けね。で、その次にレイヤーズが出られそうなのは…、ああ、ハシリーヤたちに操られたシグナレィディに、安野刑事が撃たれたあとになるわね。」
「どういう感じになりそう…?」


安野刑事が撃たれたそのとき。
日本では「刑事コロンボのテーマ」として知られる、「ミステリー・ムービーのテーマ」とともに、ひげ面にレインコート姿の私服刑事が現れた。
「あ〜、マッド・ハシリーヤ将軍、あなたを殺人の現行犯で逮捕します。」
私服刑事は、湯浅昭弘。
ところが。とうの安野刑事はぴんぴんしている。
「これでサイボーグでなかったら、死んでいたよ。」
「心配させんじゃないわよ!!」
怒ったシグナレィディに銃の台尻で頭をたたかれ、安野刑事は痛がっている。
一方、湯浅刑事はステージに上がり、ハシリーヤ将軍に向かい、言う。
「暴走程度だったら市原ですが、殺人となると、網走かもしれませんね。」
「だ、大安全マンは生きているじゃあないか!!」
将軍がわめくと、湯浅刑事は返す。
「となれば、殺人未遂と銃刀法違反に容疑は変わりますね。それでも、網走確定でしょうねえ…。」

「湯浅の御大が、石田太郎か小池朝雄風のセリフ回しで出てくるのよ。」
高美が言うと、夏実は返す。
「湯浅の御大は説得力があるから、コロンボ張りの私服刑事として出てくるのはいいかもしれないけれど、すこしネタはダークねえ。刑務所の所在地を云々するのはやめておいたほうがいいかもしれないわね。」
あずさが次ぐ。
「そうしたほうがいいかもしれないわね。そうそう、シグナレィディと大安全マンをサポートする地域限定ヒロインとして、レイヤーズの異名でもあるブルーユニッツを出すってのはどう?」
「ブルーユニッツ…?」
高美は、書類を取りだす。それには現行婦警制服をベースにした、青系統の色合いのヒロイン衣装が描かれている。

ブルーユニッツ ユーコ!

ブルーユニッツのユーコこと鳴海悠子巡査
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「誰が扮するの?」
「今のところは、あたしと悠子かな?」
夏実は、しばしの間ののち返す。
「あたしと美幸でやってもいいんだけど、それは切り札として取っておきたいわね。」
あずさが、ほほ笑んで返す。
「やるのね、あのペア。」
宗村夏実・早川美冬は、異姓同名の墨東署交通課コンビ、辻本夏実・小早川美幸に扮する。
「「おおきいおともだち」向けのネタになるかもしれないけどね。出るとしたら、こんな感じかな?」


「滝の川署管内の治安を守る、婦警戦隊・ブルーユニッツ、犬飼高美!」
「同じく鳴海悠子!」
誘導棒をベースにした武器、ルミナーバトンをもち、高美と悠子がきめゼリフを言うと、MG42を構え、宗村夏実がタンカを切る。
「警視庁巡査辻本夏実、仮面のバイク乗りが許しても、墨東の平和はあたしが守る!」
制服のポケットからワルサーPPKを取り出し、早川美冬が次ぐ。
「同じく警視庁巡査小早川美幸、東京の道はあんたたちの好きにはさせないわよ!」
宗村、高村、守村は、次ぐ。
「警視庁丸の内署勤務、巡査佐々木久雄。銀座の街はマッドの好き勝手にはさせないぞ。」
「同じく警視庁上野署勤務、巡査曾根史郎。ベンチで二人がささやけるよう、上野界隈の平穏を取り戻すべく、やってきた。」
「広島県巡査甲田雅一郎、銃後治安の戦士の意地、見せてやるんじゃい!」
さらに熱川が、ステージにあがってタンカを切った。
「警視庁巡査高木聖大!警察官としての使命に目覚めた男の意地、見せてやるよ。」
ナレーションが入る。
「説明しよう。辻本夏実、小早川美幸はご存じ墨東署の交通執行課の婦警コンビが活躍する『逮捕しちゃうぞ』のペア。甲田雅一郎は昭和14〜15年前後の瀬戸内の半農半漁の村を舞台にした井伏鱒二の名著、『多甚古村』に出てくる駐在巡査、佐々木久雄は漫才師獅子てんやの本名で、瀬戸わんやとコンビを組む前は警視庁の巡査だった。曽根史郎は同名映画の主題歌「若いお巡りさん」、「白いジープのパトロール」をうたい、映画でも警察官役として出演。高木聖大巡査は乃南アサの『ボクの街』の主人公である。これで両津勘吉が増援に来れば、さぞかし面白いことになるだろう!」
「「イー」は著作権的にやばいだろうという野次が飛んだが、そっちこそやばくないか?」
ハシリーヤ将軍が言うと、ナレーションが返す。
「その点は、許可を取ってある。心置きなくやってほしい。」

「これで大塚さんが両さんになったら、本当に傑作ね。」
夏実が言うと、高美は返す。
「面白がってやってくれそうよね。これでラストの立ち回りを演じて安全体操にうつるんだけど、こんな感じでいけそうかな?」
「「安全体操…?国鉄体操なら知っているがねえ」なんて、ムネさんや高村君は返しそうだけどね。」
夏実が言うと、一同はショーに続いて行われる、よい子のみんな向けの「安全体操」を、アンゼンジャーやシグナレィディ、マッド・ハシリーヤ将軍、ブルー・ユニッツに混じってする、宗高守トリオや湯浅刑事、夏実・美幸ペア……を想像して、顔を見合わせて笑った。ブルーユニッツがやるならともかく、歴代の警察官制服姿や私服刑事もやるのだから……。
高美が言う。
「締めくくりは、こうなるわよ。」

縛りあげられていたヨイデガンスをブルー・ユニッツとシグナレィディが助け出すと、博士は言う。
「いやいやいや、板橋の駅ついたとたん縛りあげられてさ、今回出番がないのかと思ったよ。(大安全マンを見て)ああ、エージェントの安室君に届けてもらったフラッシュスーツが間にあって、よかったよかった。このビームサーベルじゃまだから、ポイしちゃって。」
足元にあるビームサーベルをエージェントが取ると、湯浅刑事がコートのポケットから密閉できる袋を引っ張り出す。
「これは、証拠物件として保管するべきですね。そうそう、こないだかみさんに頼まれてわんこのエサ買ったとき、ついてきたのがあったから…」
アンゼンジャーがさえぎる。
「いや、これは博士が持っていてください。将軍は、また帰ってきます。この世から交通違反がなくならない限り……。しかし、わたしは信じている。この会場にいるみんなは、交通ルールを守ると。交通事故ゼロの日が来るまで、みんなで戦おう!」

「悪役よりこっちの人数が多くなるけれど、戦力の差がある一般人だからということでなんとか勘弁してもらおうかな?」
高美が言うと、あずさが返す。
「ハシリーヤ将軍が強化されたとこじつけることもできるわね。それより問題はアンゼンジャーサイドよ。あたしたちでかすんじゃいそうじゃない?それに、「おおきいおともだち」対策も立てておかないとね。」
「ある程度のノリがないとつまらないけれど、度を越すと問題だからね。だけどそれはあたしたちで何とかすれば、できるんじゃないの?」
「それもそうね。やってみなきゃわからないもの。」

「トラフィック戦隊・アンゼンジャー」の滝の川署公演の案内ページには、以下のようなキャストが追加されている。

ブルーユニッツ タカミ
滝の川署交通課勤務の婦警さん、犬飼高美がルミナーバトンを使って変身した姿。M.U.Dに対抗するべく作られたブルーユニッツのリーダー。能力はM.U.Dのレディ・ピラニアに匹敵する。

ブルーユニッツ ユウコ
同じく滝の川署交通課勤務の婦警さんで、ブルーユニッツのメンバーの鳴海悠子がルミナーバトンを使って変身した姿。能力はアンゼンジャーのシグナブルーに匹敵する。

辻本夏実
滝の川署交通課勤務の婦警さん。怪力が売り。墨東署から転勤してきた。

小早川美幸
同じく墨東署から転勤してきた、交通課勤務の婦警さん。メカに詳しい。

甲田雅一郎
マッドのやり方に我慢がならなくなり、時空を越えて昭和12年からやってきた。広島県出身のお巡りさん。

佐々木久雄
マッドのやり方に我慢がならなくなり、時空を超えて昭和22年からやってきた。警視庁丸の内署勤務のお巡りさん。

曽根史郎
マッドのやり方に我慢がならなくなり、時空を越えて昭和29年からやってきた、警視庁上野署勤務のお巡りさん

高木聖大
高美、悠子の後輩にあたる、ことし警察学校を出たばかりの、滝の川署勤務のお巡りさん。

湯浅刑事
滝の川署刑事課勤務の刑事さん。

追記
「トラフィック戦隊・アンゼンジャー」ショーの感想を、ホームページに載せた人が、演じている劇団からメールをもらったらしい。幸か不幸か、当方、未だにメールはもらっていない。拙サイトの小説を読んで、ハシリーヤ将軍は一体どう思うやら…。
ステージでシグナレィディがMG42を振り回したり、両津勘吉、辻本夏実、小早川美幸が乱入してきたら、ここのサイトの小説がベースだろう。