コスプレイベントの一瞬〜仮面ライダーとレイヤーズ〜

コスプレイベントの一瞬
〜仮面ライダーとレイヤーズ〜


 「激動の昭和彩った、あの日の姿、今ここに」を目標とする、コスプレ集団・レイヤーズ。今日は歴代の警察官制服姿で出動中だ。
 高村は、詰襟サーベル装備から、折襟式、装具を帯革で吊る方式にフルモデルチェンジした、昭和
21年式制服。拳銃はアメリカからの軍用拳銃が移管されるまでのつなぎで使われた、旧軍の十四年式拳銃。宗村は映画「若いお巡りさん」、「白いジープのパトロール」で曽根史郎も袖を通した、昭和27年式。襟が背広式になり、腰ポケットが飾りフラップのみになったのが外見上の大きな違い。それに、アメリカからの警察用拳銃が支給されたので、コルト・オフィシャルポリスを持っている。
 守村と大滝は、デザインや着装は宗村に似ているが、胸ポケットが小さくなり、デザインも変わっている。それに階級章が襟の第
1折り返しにつく、昭和43年式制服。現役警察官の間でもこのほうがよかったという声があるタイプである。
 今回の紅一点、鳴海は婦警マニアの間では根強い人気を誇る、ド・ゴール帽のニックネームのある制帽にアウトポケット
4つボタンの上着、センタープリーツのタイトスカートの昭和51年式婦人警察官制服だ。
 「高美さんは?」
 「今日は白バイ隊員だから、乗車服姿の渋川さんとで、中嶋剣と合わせやっている。」
 「鉄道公安官にしようか迷ったんだけどねえ…。」
 
5人が雑談しているところへ、仮面ライダーXが、愛車のクルーザーと共にやってきた。
 マシンは、守村の前で停まる。
 「よお、守村じゃあないか。こんなところで会うとは奇遇だな。」
 一同、雑談をやめ、仮面ライダーのほうを見る。
 「知っている人なの?」
 鳴海が言うと、守村は返す。
 「紹介しよう。わしの大学時代の友達の、石森じゃ。大学時代は授業そっちのけで、アルバイトで入った特撮物のショーをやる劇団で活躍し、いつの間にやら正規の劇団員になっとったという男じゃ。」
 「劇団といっても、大きいところじゃあないけどね。レイヤーズの皆さんは、うわさではよく聞きますよ。」
 石森の言葉に、一同は顔を見合わせる。
 「時間稼ぎでの応援出動と、そこでの怪人をきりきり舞いさせる活躍が知られているのかねえ?」
 宗村が言うと、大滝が次ぐ。
 「ムネさんの、迫真の演技なんてレベルではない立ち回りが知られているからさ。」
 これには宗村、苦笑するほか道はない。彼は、このシリーズで触れている通り、戦隊物ショーでの時間稼ぎや共演で白熱し、殺陣の立ち回りレベルではなく、本気になって怪人や戦闘員を警棒で殴りつけている。
 高村が返す。
 「俺らレイヤーズは、ただじゃあやられないからな。」
 「それが困るんだって。」
 大滝が言うと、技術屋の高村はそれにかまわず、マシンを見る。
 「それはともかく、すごいなあ、マシンまで作ってあるなんて。」
 「あたしたちレイヤーズも、撮影に使える車両、ほしいわね。」
 これは鳴海。レイヤーズの制服姿で撮影に使える車両となると、警察風塗装にしなければならないから、白バイぐらいならともかく、パトカー用の車両を個人で所有するとなると、大変な話になる。
 「マシンも含めて、そのまま撮影に使えますよ。」
 「力、入っているねえ…。僕らの装備も払い下げや劇団相手のレプリカなどの混在だから、撮影に使えるけどさ。」
 宗村が言うと、石森は、声を低めて返す。
 「レイヤーズのみんなより、安く手に入れているんだ。」
 「どうやって?」
 守村が言うと、高村が次ぐ。
 「安く手に入れるといったって、この手の衣装を自作するのかい。それでも材料費、バカにならないだろう。」
 石森は、続ける。
 「今の劇団に入る前にいた劇団がつぶれて、未払いのアルバイト賃金の代わりにこれ一式が支給されたんだよ。」
 一同、思わず異口同音で返す。


クリックすると拡大されます

 「未払い賃金の代わり!?」
 「出るとこへ出たほうがいい。労基署なりなんなりに。」
 宗村が言うと、鳴海が次ぐ。
 「未払い賃金の代わりだっていっても、衣装じゃあねえ…。」
 石森は、返す。
 「ま、前の劇団でも面白い体験もできたし。仮面ライダーの衣装だけだったら労基署へ行こうかと思ったけど、バイクまでつけてくれたから、やめたよ。いまの劇団でも、似たようなことをやっているけどね。」
 「懲りないやっちゃな。」
 「そういう守村だって、学生時代のアルバイトでも警備員だっただろう。それで、今は正規の警備員で、コスプレで警察官になる。俺と同じじゃあないか。」
 居合のできる守村は、大学生時代アルバイトでも警備員をやっていた。もっとも、居合の腕を生かせるような、常駐警備や貴重品輸送警備ではなく、交通誘導警備と雑踏警備だったが。
 石森の言葉に、鳴海が、笑って締める。
 「お互いさまってところね。」
 「ま、そんなところだな。」
 「似たもの同士だもんな。」