粉砕伝説ジュリバン外伝
〜出動、ガーディアン・ユニッツ〜
1
〜事件発生…?〜
ここは、都内某所にある映画のオープンセット。おりから開かれているコスプレイベントに、コス・イベントの警備を得意とする世界制服屋警備部は出動していて、森川あずさと各務まゆみは昭和51年式制服に似た警備部の制服姿で昭和50年代の街並みのセットで立哨、植村夏美警士と小川美雪警長は、アニメ版『逮捕しちゃうぞ』の辻本夏実・小早川美幸コンビに扮し、トゥディを改造した警備部の車両で巡回……と、各人時代にあわせた制服で警戒している。
さて。大正〜昭和初期の交番で守村義衛警士が、詰襟式制服の昭和10年式制服姿の巡査に扮して立番していると、おおよそ情景とは不釣合いな、変身ヒロイン風のフルフェイス・ヘルメットにボディースーツ姿の女性がバイクをかっ飛ばしてきた。

立番中の守村巡査
クリックすると拡大されます
「なにがあったかはわからないが、このままこっちへ来たら事故を起すかもしれない。制止しなきゃあならないな。」
彼が目をこらしていると、変身ヒロインは交番の前にバイクを止め、またがったまま守村に言った。
「守村!訳はあとで話すから、後部座席に乗った乗った!」
「訳はあとで話すといわれましても、あなたはどなたですか…?」
守村の言葉に、「あんたも疑りぶかいんだねえ…」と言いながら変身ヒロインがヘルメットのバイザーを上げると、ハニーブロンドで小麦色の肌の女性が顔を出す。
「ああ、サンディさん。どうしたんですか?」
変身ヒロインの正体は、世界征服屋の闘将・サンディラの世を忍ぶ仮の姿、スタントウーマンのサンディ。今日は近くの遊園地でやっている「制服戦隊・ユニッツファイブ」のショーのヒロイン、ユニッツレッドこと消防官水野消子に扮している。バイクはヒロインが乗り回すものではなく、彼女の私物だ。
「レイヤーで、場数を踏んだあんたたちにしか対処できない事件が起こったんだよ、警備隊長の高城真理には言ってあるから。」
「事件発生と聞いたらほうっては置けませんね、わかりました。」
あとは同僚とボランティアのレイヤーに任せ、サンディのバイクに二人乗りして守村が警備本部に行ってみると、警備隊長の高城真理警尉が次席の熱川警曹、分隊長の洛田警士部長となにやら話している。
集まっているのは、小川美雪警長、植村夏美、川崎護邦、中島衛士、森川あずさ警士と各務まゆみ警手、岡部百合恵巡警。サンディが言うとおり、全員大なり小なりコスプレの心得があるから、トラブル対処要員として抽出されたようだ。
「第4哨所警戒要員、守村警士参りました。」
守村が申告すると、彼の姿を認めた熱川警曹が、
「お、守村来たか。じゃあ真理の姐御、お願いします。」
というと、高城警尉が口を開く。
「こうやって集まってもらったのは、他でもない。近藤警監殿と交友もあり、親会社の世界制服屋のお得意でもあるサンディさんの所属する劇団で、トラブルが発生した。そのため、コスプレイベントの警備にあたり、またコスプレイヤーでもある我々が時間稼ぎをすることになった。」
「時間稼ぎって、言ってもねえ…。」
守村が言うと、百合恵が質問する。
「いったい我々は、なにをすればいいんですか?」
着ぐるみショーをやる劇団の監督が答える。
「音響にトラブルが発生したので、直るまで、世界制服屋警備部の皆さんに時間稼ぎをお願いしたいと思いましてね。」
サンディが次ぐ。
「あたしらのショーでやるセリフを取ってあるテープが、ラーメンみたいに伸びちまったんだ。」
目の前にあるカセットテープは、もののみごとにこんがらがっている。
「ありゃ〜、こりゃだめだわ。」
「メカフェチ」の異名のある、機械類の修理が得意な美雪が言うと、あずさが次ぐ。
「それなら、テープを取ってくればいいではないですか。」
真理が代わりに答える。
「今、向こうにある予備をダビングしているんだけど、一回目の公演には間に合いそうにないのよ。まさか公演に穴をあけるわけにもいかないでしょ。セリフはアドリブでいいから、あたしたちは時間稼ぎをしてほしいんだって。」
着ぐるみショーでのヒーロー・ヒロインのセリフは、録音テープを流す場合と、司会者などがあてる場合との二種類ある。今回は前者だが、ごらんのようにテープが経年劣化でお釈迦になってしまった。さあどうしよう…というときにサンディが、
「確か、近くの映画のセットでやっているコス・イベントは世界制服屋警備部が警備しているはず。あの人たちこういうトラブルの対処になれているから、時間稼ぎ、協力してくれるかもしれない…。」
と、近くのコスプレイベントに警備部が出動していることを思い出したので、急遽警備部が時間稼ぎで出演(?)することになってしまった。
「それだったら、お引き受けしましょう。」
「困った人を助けるのも、任務の一つですから。」
「そういってくれると思っていたわ、みんな。」
真理が言うと、サンディが次ぐ。
「さすが、衛恵の部下だけあるね。」
そうと決まれば、あとはキャストをあてるだけ。真理は矢継ぎ早に役を振っていく。
白バイ隊員に扮している川崎が、
「俺は…、中嶋剣か?」
と言うと、真理は、
「そ、大当たり。でもって中島君、あなたは夏実の恋人で、アニメ版で出てくる東海林将二になるわよ。二人のサポート、よろしくね。」
中島は返す。
「俺は夏実の恋人、東海林将二っスか。わかりました。」
口調までなりきっている二人を見て、真理は続ける。
「自動車でパトロールしている夏美と美雪は、一字違いの墨東署交通課の名コンビ、辻本夏実・小早川美幸になって。」
夏美は言う。
「一字違いの夏実と同じくがんばるわよ〜。川崎、中島コンビもあたしたちに負けないよう。」
小早川美幸役の美雪が続ける。
「だめよ夏美、あんたが怪人KOしたら。怪力なんだからさ。」
「でもって守村君にあずさ・まゆみコンビと百合恵は、一般の警察官役でおねがいね。」
「はっ。」
「そうはいっても、義衛君は世代が違うわねえ〜。」
高城の言葉に、詰襟制服姿の守村は返す。
「今から着替えるわけにもいきませんねえ。」
というわけで、一同は準備に取りかかる。
どこから持ってきたのかは知らないが、夏美が第二次大戦の名作機銃、MG42のガス・ガンを点検し始めたのを見て、守村が佩刀を確めながら、
「多士済々だねえ。」
と言うと、あずさはポケットから愛用のガス・ガンを取り出して次ぐ。
「血が騒ぐわね。あたしもがんばらないと。」
いざリハーサルに移ろうというときに、またトラブルが発生した。
「…どうしよう、ブーツと手袋がないぞ。」
「なんだって!?」
なんと、怪人用の黒いブーツ、ヒーロー用の白手袋がない。手袋はまゆみが予備を持っていたのでなんとかなったが、白バイ隊員の中嶋に扮した川崎からブーツを召し上げるわけにはいかない。
「困ったわね。」
サンディの言葉に、守村が返す。
「…。自分の作業用スパッツがあります。あれを巻けばなんとかごまかせるでしょう。」
守村は脚絆を巻かなければならないシーンに備え、黒布製、コハゼで止める脚絆を持っている。あれなら黒い短靴を履いていれば、遠目にはブーツに見えなくもない。
というわけで、戦闘員からブーツを召し上げ、それを怪人に回し、件の戦闘員は守村の脚絆に自前のスニーカーという姿でなんとかリハーサルを済ませ、救援出動の警備部を交えた「制服戦隊・ユニッツファイブ」ショーは本番を迎えることとなった。
2
「墨東署交通課VS怪人」
「さあみんな、これからユニッツファイブのショーが始まるよ〜!」
司会の声とともに怪人・イイモデードが戦闘員を率いて現れ、客席に向かってわめく。
「ふはははは、我輩は怪人イイモデード。今日はこの遊園地を乗っ取り、長年のライバル、ユニッツファイブをおびき出すこととした…!ものども、かかれ!」
「イー!」
号令一下戦闘員は散開し、客席に行こうとした瞬間、一世代前の昭和51年式婦警制服姿の警察官が立ちはだかった。
「そうはさせないよ、イイモデード!」
子供たちは、彼女が変身して、警察官のユニッツブルーになるのではないかとじっと見ている。
コートを潮風になびかせる婦警は長身で黒髪ロングヘア、性格のきつそうな姐さんで、階級章は警部。単身現れた彼女は戦闘員など気にとめず、ローファーの靴音を立ててイイモデードに近づき、逮捕状を突きつける。
「あんたたちを逮捕する。」
「なんの容疑でだ!」
イイモデードが言うと、彼女は落ち着き払って返す。
「容疑は内乱罪!なんなら破壊活動防止法のおまけもつけてやろうか?」
……確かに、戦隊物の悪役が目指す目標は、日本国の政権を転覆させようとしていることが多いから、クーデターに対する罪である内乱罪、さらには破壊活動防止法を適用されても文句は言えない。
道理は合っているが、怪人役は驚いた。こんなセリフを言うなんて聞いていないし、どこの世の中に内乱罪で逮捕される怪人がいるだろうか。リハーサルでは警備部の面々は、怪人相手に苦戦するはずだったが…。
「もともと警備部は助っ人でアドリブ主体だし、舞台人の意地、アドリブにはアドリブで返してやる!」と思い直した怪人は、戦闘員に指示する。
「うぬぬ、まずは生意気なこいつから人質にしてしまえ!」
「イー!」
戦闘員が捕らえようとすると、真理は変身するかわりポケットからムチを取り出し、振り回す。
「痛い!」
戦闘員をムチで牽制しながら真理は白手袋をはめた手を上げ、合図する。
「夏実、美幸、出番だよ!」
現行制服無帽、袖まくりという、アニメ版『逮捕しちゃうぞ』の辻本夏実・小早川美幸に扮した植村夏美、小川美雪コンビが、舞台の袖から現れると、客席からは、
「おお〜。」
「夏実と美幸だ。」
と、ざわめきともつかない声があがり、司会の合いの手が入る。
「墨東署交通課の名物コンビ、辻本夏実・小早川美幸が助っ人に現れましたよ〜、イイモデード、どうする?」
「墨東の平和を乱す奴らは、ストライク男が許しても、警視庁巡査辻本夏実が許しはしないからねぇ!」
と言うなり、一字違いの夏美・美雪コンビは怪人めがけ、MG42のガス・ガンをぶっ放した。
「くらえ、MG42!」
「ぎゃあっ!」
至近距離からプラスチックの弾を高圧のガスでぶつけられたら、怪人でもたまったものではない。舞台せましと逃げ回る。
「痛い痛い!!」
「どこの世の中に、MG42をぶっ放す婦警がいるんだ!!」
怪人の言葉に、夏美は平然と返す。
「ここにいるんだよ!」
美雪が次ぐ。
「怪人じゃなくて変人だね!」
問答無用で射撃されたうえ変人と呼ばれたイイモデードはむきになり、演技だということを忘れてわめく。
「おおのれ、ガスガンで撃ちまくるとは。イイモデード様をバカにしよって。いいからこいつらからやってしまえ!!」
「イー!」
刀を手にした戦闘員が、手にしたコルト・ガバメントに給弾するため一瞬隙を見せた美雪に斬りかかろうとした。
「あっ!」
「美幸がやられる!」
そのときまさに間髪を入れず、すっと現れた白バイ隊員は腰の警棒で刀を受け、
「俺の女に手を出すんじゃねえ、雑魚敵のくせしやがって!」
というなり戦闘員に一発蹴りを入れる。
「中嶋君…!」
「小早川、あとは俺に任せろ。」
「墨東の白い鷹」、中嶋剣になりきった川崎に、負けてはならじと東海林の中島も、夏美に向かってきた戦闘員の襟髪をつかむなりぶん投げる。
「夏実さん、俺も悪人退治のお手伝いするっス。」
小柄なかおるは「サンショウは小粒でもぴりりと辛い」を地でいき、警棒で戦闘員や怪人の弱点を狙って回る。
「えいっ!」
向うずねをかっぱらわれて、戦闘員はたまらずひっくり返る。
「痛い!」
「なにをしやがる!」
むきになって戦闘員がまゆみを追いまわすと、百合恵が、
「さあかかっておいで!」
と、制服の上からでもわかる巨乳をものともせずに格闘を挑んでくるうえ、一段高い位置にいるあずさが、一撃必殺で狙撃してくる。
「ぎゃあっ!」
狙いすました一発が命中した戦闘員は、もんどりうってステージから転げ落ちる。
その姿を見て、彼女はコルト・ディテクティブ片手にタンカを切る。
「あたしが持っているのが、実銃でないことを感謝することね。」
守村は腰に下げた佩刀を抜き放ち、往年の警視庁抜刀隊よろしく、刀を振り回す戦闘員に向かっていく。
「警視庁巡査守村義衛、警視庁抜刀隊の意地を見せてやる!」
……もうこうなったらめちゃくちゃ。戦闘員と怪人はあっちでは中嶋と東海林にぶん殴られ、こっちでは夏実の怪力でねじ伏せられ、守村は剣戟を展開、たまらず逃げるとまゆみに向うずねをかっぱらわれ、真理に鞭打たれ、あずさは得意の弱点射撃で支援、百合恵のFカップ巨乳を揺らしてのアクションなど見る余裕がない……と、普通の戦隊物なら無力のはずの一般警察官が圧倒的優位にたっているありさまに、見物人は驚き騒ぎ、また声援を送る。
「いったいどうなっているんだ!?」
「こんな話、見たことないよ。」
「負けるな、警視庁抜刀隊の末裔。」
「がんばれ、怪力婦警!」
「怪力婦警」の声援に、夏美はKOした戦闘員を高々と持ち上げ、イイモデードめがけ投げつけた。
「どぅおりゃあ〜!」
「ぎゃあ!」
「おおきいおともだち」は、巨乳を揺らしてのアクションの百合恵、ムチで戦闘員を倒す真理に声援を送る。
「姐さん、がんばれ!!」
「巨乳婦警、そいつを巨乳で窒息させろ!」
百合恵は壁に小柄な戦闘員を押しつけていたので、野次とも声援ともつかない声に思わず赤面し、力が抜けるが、戦闘員はちゃっかり者か、動かない。
「ありゃあやりすぎゃあないか?」
本家本元、変身後のユニッツブルーが言うと、さしものサンディも、警備部@墨東署の面々の活躍には少し慌てる。
「おいおい、これじゃあたしたちの出番がなくなっちまうよ!」
が、警備部もさるもの。戦闘員が壊滅状態となったころを見計らい、ユニッツファイブに合図を送る。
「あとは任せたよ、ユニッツファイブ!」
真理が言うと、警備部の面々はユニッツファイブに舞台を譲り、支援体勢に入るが、夏美はMG42を構え、あずさは狙撃体勢、守村は佩刀をいつでも抜けるようにしている。
「よしきた、覚悟しろ、イイモデード!」
真理にかわって怪人とお相手するは、怪力のサンディ@ユニッツレッド。彼女はイイモデードの手を取るなり力任せにぶん投げたからたまらない。怪人は一発KOされてしまった。
「うわ、すご〜い、一発でイイモデードをやっつけちゃった〜。」
司会の言葉に、サンディは戦隊物のヒロインらしく、胸を張って返す。
「ふははは、ユニッツファイブの勝利!」
これで演技は総て終わり、サイン会と握手会、撮影会に移る。
ここでは主役であるユニッツファイブに人気があったが、警備部@墨東署の面々も記念撮影などを求められたので、気さくに応じた。子供はMG42を持った夏実@植村夏美、美幸@小川美雪、詰襟制服佩刀装備の守村と狙撃手森川あずさに寄ってきて、「おおきいおともだち」は、「巨乳婦警」岡部百合恵に集まる。
「ねえ、その刀は本物なの?」
子供に聞かれ、守村は、佩刀を少しだけ出して返す。
「刃がない刀だけどね。」
「おおきいおともだち」に、
「その拳銃は、ニューナンブですか?」
と聞かれたあずさは、拳銃片手に返す。
「いいえ。コルト・ディテクティブという警察用拳銃です。珍しいでしょう?ニューナンブが出回るまで、実際に使われていたモデルですよ。」
銃器など知らなさそうな彼女の答えに、「おおきいおともだち」はいささか青ざめて、帰っていった。
指揮官役だった真理は、一般人の父親に、
「…ところで警部さん、こういう話、原作にありましたっけ?」
と聞かれたので、慌てて返す。
「ここだけのオリジナル脚本です。こういうステージの台本は、もとになった作品の脚本家が書き下ろしでくれるんですよ。ええ。」
「……こういう話なのか?」
ショーの一部始終を見ていた初老の紳士がつぶやくと、孫が返す。
「ちがうはずだけど…。おまわりさんは出てくるけれど、あんなにいっぱいはいなかったし…。」
「なんかあの顔、どこかで見たんだがねえ……?」
首をひねる初老の紳士の正体は、舞台で大立回りを演じた世界制服屋警備部のNo2、遠藤恭四郎警正。非番の彼は孫を連れ、遊園地に遊びに来ていたのだった。
3
そんじょそこらで、てんやわんや
それから数日後の昼休み。ユリイカに守村とあずさが入ると、遠藤警正がいた。
「おや、お二人さんも来たか。」
びっくりした二人が見ると、店内にはあのとき「出演」した全員がいて、写真を見てくすくす笑ったりしているから、
「いったいなにごとですか?」
「面白い写真ですか?」
と怪訝な顔をすると、真理が雑誌を渡してきた。
「警正殿が持ってきたのよ、ほら。」
見るとコスプレイヤー向けの雑誌で、付箋がついたページをめくってみると、あのときの一部始終が載っている。どうやら、居合わせた「おおきいおともだち」が撮ったらしい。題は「辻本夏実VS怪人」。MG42を片手に怪人と対決する夏美の写真が主体だが、狙撃手のあずさが一撃必中の射撃を決めた瞬間、「警視庁抜刀隊の末裔」とタンカを切った守村、はては巨乳を揺らして格闘する百合恵の姿もある。
「まさか警正殿が…?」
守村が言うと、遠藤は返す。
「俺がこういう雑誌を買うわけがないだろう。制服屋の高美さんが、こういう記事があるからって見せに来たんだ。まああたしもね、あのときは孫を連れて遊園地にいたんだ。」
一同は赤くなったり青くなったりするが、遠藤はかまわず続ける。
「どこかで見た顔だと思っていたら、君らだったのか。あとで熱川君が教えてくれたよ。助っ人として出たんだってね。」
真理が一同を代表して、
「困った人がいたから、手を貸しただけであって、なにも謝礼は…」
「わかっているよ、君らがそういう人間ではないことは知っているからね。そうそう、これはあたしが撮ったものだけどさ。」
といって遠藤は、普通サイズの写真を取り出す。こちらはショーで活躍するユニッツレッド以下を押さえたものだが、それでもところどころに警備部の面々が写っている。
カウンター席から、ユニッツレッドのサンディが言う
「あんたたち、目立ちすぎだよ。午後の公演であんたたちが出なかったから、午前中の公演を見た人たちからは、「なんで今回は、制服警察官は出ないんですか?」って聞かれるし、午後の人たちからは「辻本夏実が乱入して、怪人をKOするって聞いたんですけど」なんて質問されたし。」
「どういう情報だよ…。」
「東海林将二」の中島が苦笑すると、「中嶋剣」の川崎が次ぐ。
「テープがお釈迦になったから、時間稼ぎでやった苦肉の策だったんだけどな。」
サンディは、コーヒーを飲んでから続ける。
「それに夏美は怪人ぶん投げたうえ、ガスガンぶっ放すし、やりすぎだよ。」
真理が返す。
「怪人を撃退する制服警察官なんて、意外性やアンチヒーロー・ヒロイン性があって、いいんじゃないの?」
「そうそう。ヒーロー・ヒロインが活躍するばかりが、戦隊物じゃないもの。」
芸術家のはしくれ、本業は画家のまゆみが次ぐと、サンディはため息をついて返す。
「あんたたちねえ…。子供はそういう小難しい芸術論は受けつけないんだよ。ヒーローが怪人を撃退してめでたしめでたし。それで十分なんだって。あんたたちが活躍していたときだって、子供たちはぽかんとしていて、「おおきいおともだち」が騒いでいたじゃないか。」
「確かに、そうね。」
夏美が言うと、百合恵が次ぐ。
「壁に戦闘員を押さえつけたとき、相手はあたしの胸に顔をうずめてきたんです。腹が立ったから、痴漢対処術で沈黙させてやりました!」
「あ、本当だ。「巨乳婦警、戦闘員を壁面に押さえつける」なんてある。」
まゆみが雑誌を読みあげると、真理は笑って次ぐ。
「確かに胸に顔をうずめられるのは、好きな人でない限り気分はよくないけれど、あまり大暴れはしないでね。だけど、あずさの狙撃テクニックには恐れ入ったわねえ。」
件の雑誌には、「一撃必殺、ニューナンブで狙撃をする美人婦警」などというキャプションがついているので、あずさは苦笑して返す。
「警察官になったら、狙撃班にまわされたかもしれませんねえ。」
「警視庁抜刀隊の末裔」、守村が次ぐ。
「高城さんはすごいですね。ムチ一本で怪人を沈黙させられるんだから。とてもじゃないですが、僕は戦闘員一人を相手にするのが精一杯でした。」
すると、真理は胸を張って返す。
「ムチさばきなら、ほかならぬ高美さんや渋川さんにも負けないからね。」
ムチ一本で怪人と互角以上に戦う隊長、高城真理、MG42をぶっ放す「怪力婦警」植村夏美、知力勝負の小川美雪、「警視庁抜刀隊の末裔」守村義衛、一撃必殺の狙撃手森川あずさ、「サンショウは小粒でもぴりりと辛い」各務まゆみ、Fカップ巨乳を揺らしてアクションをする岡部百合恵、熱血漢の川崎護邦、中島衛士。怪人を向こうに回し、互角以上の戦いをするガーディアン・ユニッツ。その実力は、あなどれない。