粉砕伝説ジュリバン外伝〜戦隊物のお約束は…

粉砕伝説ジュリバン外伝
第35話
〜戦隊物のお約束は…?〜


世界征服を狙う秘密結社の怪人・クモ男は、戦闘員を率い、深夜のとあるオフィスビルに忍び込み、情報を集めていた。
戦闘員はパソコンを起動させ、データを探す。
「これでしょうか…?」
画面には、ガーディアン・クロスの文字がある。
クモ男は返す。
「これが、防弾・防刃効果のある素材、ガーディアン・クロス…。」
お目当ては、この会社の新製品情報。持ってきたパソコンにデータを転送しているところへ、巡回中の警備員がやってきた。
「誰だお前ら。」
懐中電灯の光に照らされたクモ男は返す。
「見たな。秘密を守るためだ、悪く思うな。」
クモ男は糸を吐き、警備員をからめ取ってしまった。これによってクモ男は相手を捕らえ、溶かしてしまうのだ。
が…、からめとられたはずの警備員は、気合の声とともに糸を引きちぎってしまった。
「な、なぜ我輩の糸を切ることができる…?」
あ然とするクモ男に、警備員は返す。
「世界制服屋警備部警正、内藤武士と知ってのことか!」
気がつかなかったが、警備員は長身で体格もよく、腕も立ちそうだ。
クモ男は返す。
「なんだお前は、変身ヒーローか。だったらやっつけてやる。かかれ戦闘員!」
「イー!」
戦闘員がばらばらと戦闘隊形に入ると、内藤は腰の警棒をすっと抜き、言う。
「なにをごちゃごちゃ意味不明なことを言っている、お前ら全員住居不法侵入の現行犯で逮捕してやる!」
「やむをえん、応戦!」
クモ男たちが向かってきたところへ、ガードウーマンがやってきた。騒ぎを聞きつけ、増援に来たのだ。
彼女も長身で、制服に包まれたボディも筋肉質。こちらも腕が立ちそうだ。
ガードウーマンは、身構えつつタンカを切る。
「世界制服屋警備部警監近藤衛恵、平安を乱すものには容赦はしないぞ。窃盗の現行犯で逮捕する!」


「世界制服屋警備部の警備するビルに侵入するとは、命知らずだな。」

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数分後。近藤、内藤コンビによりクモ男以下は身柄を確保されていた。
KOしたクモ男に内藤が、
「世界制服屋警備部が警備しているビルに忍び込もうなんて、百万年早いんだよ!」
というと、近藤は次ぐ。
「命があるだけまるもうけと思うことだね!」

クモ男のねらい目はよかったが、相手が悪かった。よりにもよって忍び込んだところは世界制服屋警備部が警備にあたっている。世界制服屋警備部は読者諸兄・諸姉ならご存知、世界を制服で征服することを最終目標にする秘密結社、世界征服屋の近衛部隊を改編した組織で、警備部警正・内藤武士の真の顔は世界征服屋の近衛部隊副長・ブラックナイト、警備部警監・近藤衛恵は近衛部隊隊長・エンプレス・ガーディアン。腕に覚えのある二人は生身の状態でも怪人と戦えるし、二人の制服はマッドサイエンティスト・アッシュが作った素材、ガーディアン・クロス製。これは対弾・対刃性があるうえ、着た者の能力を強化することができる優れものである。内藤は全身鎧姿をものともせずに動き回れるように常人以上の筋力があるから、クモ男の糸など、ガーディアン・クロスを使わなくても簡単に切ってしまえる。
もちろん世界制服屋警備部には、近衛部隊とは無縁の守村義衛、森川あずさ、各務まゆみ、洛田守…といった常人もおり、彼・彼女ならクモ男によって解かされてしまい、普通の特撮変身ヒーロー物のような展開になっただろうが、今日は人員のやりくりの都合で社長で警監の近藤衛恵、同じく警備
1課の課長で警正の内藤武士が入っている。もっとも常人の守村、森川などもただではやられない。手ひどいダメージを自らの命とひきかえに与えるだろう。

通報を受け、近くの交番からやってきた宗村夏実巡査は、クモ男に言う。
「考えたわね、あんたも。特撮物の悪役の着ぐるみ姿で忍び込んで、企業スパイをやるとはね。ここは特撮物の着ぐるみを作っているから、あんたみたいな格好でいても違和感ないから。」

それから数日後。
世界制服屋警備部の警監室に、内藤と近藤はいた。
机の上には、「クーデタ計画をたくらむ集団を摘発」、「初の破防法適用か」、「内乱罪の適用も検討中」などと書かれた主要紙がある。
取調べで戦闘員が口を滑らせたため、秘密結社の存在が発覚してしまい、全員逮捕されてしまったのだ。もちろん、世界制服屋警備部の名前は出ていない。まだあの時点では住居不法侵入と窃盗罪しか成立していなかったのだから。
「大事は、こういう小さいことでパーになることが多いのさ。」
内藤が言うと、近藤は苦笑して返す。
「確かに。近衛部隊系の警備部員には周知させておかないとね。だけど今回はあたしたちが助勤で入っていたビルだからよかったものの、世界制服屋本店に忍び込まれたら大変よ、対策を立てないと。」
「そうだな……。」
二人は、警備計画を建て始める。近衛部隊の誇りにかけて。
「警備部も、機械警備ができるようにしないとな。」

あっけなくやられるはずの一般人のはずが、生身の状態で怪人を
KOし、「戦隊物のお約束」をめちゃくちゃにする近藤衛恵、内藤武士の率いる世界制服屋警備部。本来なら人々に迷惑をかける存在なのに、平安を守る。矛盾した組織ではあるが、人々から支援されるのだから、よしとしよう。