粉砕伝説ジュリバン外伝外伝第40話〜警備部の「レッドとブルー」

粉砕伝説ジュリバン外伝
外伝第40話
〜警備部の「レッドとブルー」〜


ある日の休憩時間。喫茶店ユリイカで、遊園地の警備応援に行くことが多い面々が集まって、戦隊物のシナリオがどうのこうのという話をしていると、小柄なメガネっ娘、本業は漫画家の各務まゆみが、くすりと笑ってから言った。
「熱川さんと清水さんって、戦隊物に出てきそうね。」
「俺らが…?」
二人が顔を見合わせると、業界紙を読んでいた守村義衛が次ぐ。



変身前と変身後

「熱川はレッド、清水はブルーといった役どころだろうな。」
熱川は警曹、清水は警尉で上級者だが、守村・森川・各務とは同期。だから勤務時間外では、普通に呼びあっている。
読者の皆さんはすでにご存じの通り、熱血漢の熱川、冷静沈着の清水のコンビは私服警戒の警備
2課、通称捜査課所属だが、助勤、応援で制服姿で出動することも多い。しかし熱川は編上靴で活動服、清水は普通の短靴に制服だったりするように、行動はおろか、性格も正反対なのに、コンビを組むと最良の効果を発揮する、不思議な関係。
「仕事が仕事だからね、変身する前の役どころには、いいかもしれないな。」
清水が言うと、森川あずさがいたずらっぽく笑って、
「同人ミセスには、人気出るかもね。」
と次いだ瞬間、熱川は飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。
「うわ、汚い!」
「何をするんじゃ熱川!」
ぞうきんでテーブルを拭きながら、熱川が、
「同人ミセスって、俺らが警戒にいく同人誌即売会で出ている手合い…だよなあ。」
と言うと、各務が次ぐ。
「特撮ショーでも、人気出そうよね。どっちが攻めでどっちが受けになるのかしら?」
近年の特撮物では、女性の「おおきいおともだち」や母親世代を狙った俳優を起用するときがあり、特撮物のショーでもヒーロー役に手作りお菓子の差し入れがある。それも一人だけではないから、とてもではないがヒーローだけでは食べられない量になるので、サンディ経由で会場警戒の警備部もおすそ分けにあずかるときがある。
お母さんさんたちからお菓子をもらう程度ならまだいいが、「おおきいおともだち」やひまにあかせた同人マダムの空想による、同性愛ものの同人誌に使われることもある。もっともそれは原作サイドの俳優だが。
「ふぅ。俺らはその気もないのに、勝手に同性愛者にされるのか。かなわないな。」
清水が肩をすくめると、熱川が次ぐ。
「そんなんだったら、俺、特撮物のヒーローなんかなりたくないっす。」
「同人イコールエロパロ・やおいと短絡的に決めつけるのは、まずいわ。確かにそういうのもあるけど、同人誌には本当に作品やキャラクターを愛する人が作るものがほとんどよ。」
森川が次ぐと、守村が言う。
「あずさの言うとおり、短絡的に決めつけるのは、まずいな。俺の守備範囲の鉄道系同人はどうなる?だが、二人がレッドとブルーだったら、イエローやピンク、司令は誰になるんだろうな。」
「ピンクは、ジュンと衛子かな?双子のアマゾネスといった感じだし。」
清水の言葉に、各務が返す。
「二人のピンクか〜。いや、ジュンがイエロー、衛子がグリーンなんておもしろいかもね。となれば…、司令は衛恵さんか内藤さんかな?」
森川が次ぐ。
「そうそう、あの二人しかいないわね。司令自らも変身して戦いそうじゃない?でもって高美さんは組織のトップ。特撮のパロディーができそうな展開ね。」
「衛恵さんや武士さんは身長もあるし、筋肉質だから、ボディースーツ姿は絵になるわね。」
各務が言うと、守村が次ぐ。
「俺らみたいな一般人が、怪人や秘密結社をきりきり舞いさせるようなもののほうが面白いぞ。ときおり俺らが時間稼ぎのアドリブでやる、戦隊物どたばたコメディーみたいにさ。」

警備部の面々で特撮物のパロディーを作るならどうする、という話題に盛りあがる、近衛部隊には無関係の面々を見て、熱川が言う。
「俺ら、本当は悪役なんだけどな。」
すでにご存じの通り、熱川・清水は秘密結社世界征服屋近衛部隊の中心的存在。
清水が次ぐ。
「だが、悪い気はしないな。俺らだってたまには、目立ちたいさ。」
変身前のヒーロー、ブルーの清水、レッドの熱川。前後を戦闘員に囲まれて、絶体絶命。そこを立ち回りで脱出する…。
二人も制服姿でポーズを取る姿を想像しつつ、会話に加わる。
「舞台の上で、戦闘員や怪人相手に殺陣の立ち回り、やってみたいよな。シリアスな作品でさ。」
「…衛恵さんも変身ヒロインにあこがれているって言ってたぞ。話してみたら、乗るかもな。」

会話を聞きながら、喫茶店ユリイカのマスター、一千尋はメモ用紙に鉛筆を走らせる。
「その話、形にしたら面白そうね…。」
会話が警備部の社内報『世界制服計画』に連載している特撮パロディーの元になったかは、わからない。