下手の横好き模型雑記帳
『逮捕しちゃうぞ』1/35化計画…?


夢にまで模型屋に行くという病篤い筆者の「こんなものを模型化したらさぞかし面白いだろう」という雑文コーナー、『模型雑記帳』シリーズ、今回は「1/35で日本人女性を…」という企画について書いていく。
というのも、あるとき「
1/35で『逮捕しちゃうぞ』の女性キャラ達を作ってみたらどうだろうか。」と思いついたので、使えるパーツをストックの中からかき集めたら、以下のようになった。

「辻本夏実」(平成6年式冬ワイシャツ姿)

頭:ホーネット 
胴体:ズベズダ・イタレリ「ソ連砲兵セット」 
足:イタレリ「シュビムワーゲン」付属、ドイツ空軍通信隊婦人通信兵 
右腕:タミヤ「ゼネラルセット」マッカーサー 
左腕:タミヤ「ソ連戦車兵小休止セット」女性兵士

小早川美幸」(平成6年式冬服)

頭:ホーネット 
三つ編み:タミヤ「ソ連戦車兵小休止セット」 
胴体・足:ピットロード「陸上自衛隊婦人自衛官」

「二階堂頼子」(昭和51年式冬服)

頭:ホーネット
制帽:イタレリ、ドイツ国防軍「M43式規格帽」
胴体:イタレリ「シュビムワーゲン」付属、ドイツ空軍婦人通信隊員
腕:イタレリ・ズベズタ「ソ連砲兵セット」

本来なら昭和51年式、平成6年式のスカートは中央にプリーツが入っているが、工作を忘れていた。
このとき気づいたが、
1/35での女性のプラスチック製の模型は、今ここに書き出した以外にほんの数体あるだけで、あとはガレージキットメーカーのレジンキャストキット任せになっているようだ。
この手のスケールの第一人者のタミヤは、シリーズの始まった
1968年からこのかた、やっと29年目の1997年、「ソビエト戦車兵小休止セット」に「女性戦車兵」として入ったのが初めてだ。彼女の出現は、同年に出た初の民間人、英軍戦車兵にワインを差し出すノルマンディー地方の農民とともに、「タミヤが初めて出した」と大騒ぎになった。それまでタミヤでは、女性と民間人はキット化していなかったのだ。
イタリアのメーカー、イタレリは、ロシアのズベズダ名義で現在製造している「ソ連砲兵セット」に衛生器材か暗号表の入ったカバンを肩にかけた彼女が一人、シュビムワーゲンにおまけみたいな形で、戦闘機乗りの話し相手になっているドイツ空軍の婦人通信隊員として一人。
ドラゴンモデルスは、南ベトナム解放戦線の連絡員役で一体、ソ連狙撃兵チームの監視員と狙撃兵のペアとして二体、それにハセガワが出したキューベルワーゲンを野戦救急車として改造するパーツに軍医と共に看護婦として一体入っているだけ。
あと、実物を確認したことはないが、フランスのエレールが「パルチザン・レジスタンス」と銘打ったキットの中に、女性闘士が入っている。
ほかにもまだまだありそうだが、筆者が確認できたのはこれぐらい。
ベルギーのバーリンデン・プロダクツを始めとしたガレージキットメーカーが、ソ連軍の女子後方要員やドイツ軍の赤十字看護婦などを出しているとはいえ、ワンショットメイキングの母体に単価が高いガレージキットを使うとなると、気が引けるものがある。
じゃあというので往年の『ジュニアニュース』を引っ張り出して、「ないものは自作」という模型人の合言葉どおり自作しようにも、男性はドイツ国防軍・武装親衛隊ではヘルメットつきから何からたくさんあるのに、女性のヘッドパーツがない。雑誌に作例記事を載せる人は、パテと真鍮線からひねるだけの時間や余裕、さらには腕があるが、ほとんどの模型好きは片手間にやっている人がほとんどだから、ヘッドパーツが得意の前述のイギリスのメーカー、ホーネットの唯一の女性ヘッドパーツ、「ヨーロッパ系女性 無帽」を利用するわけだが、これがまた変なのが入っている。占領地で独軍将校の情婦になっている女か、それともミリタリー・ボンテージの女王様を作れというのか、見くだした表情のものや、兵隊相手の夜の女でも作れというのか、しなを作ったものが入っていて、まともに使えるのは一セット五個中三つしかない。おまけにヨーロッパ系女性だから、日本人女性の辻本夏実や小早川美幸には転用できない。
趣味が昂じて
RPG用のメタルフィギュアを製作販売している人曰く、「キャラへの思い込みと愛情が大切、うまいヘタは関係ない」だそうだが、やはり夏実・美幸は大和撫子。アジア系女性で作りたい。
近年、それまで前線でどんぱち、戦車を絡めた情景を作っていた人達が、ヨーロッパのヒストリカル・メタルフィギュアに習って一風変わった小情景を作り始め、注目されるようになってきた。
そこで、模型青年はこんなことを思いついた。
1/35のインジェクションで辻本夏実、小早川美幸を…とは言わないが、婦人部隊員シリーズの一環としてヨーロッパ、アジア系、ひいては日本の女性のフィギュアは作れないものだろうかと。
ドラゴンモデルスが
1/35で、ロス市警やニューヨーク市警といった、警察のテロ対策などの特殊部隊を製品化したはいいものの、5つでこけてしまったが、現代の特殊部隊だけにせず、時代や部門を限らずにシリーズを広げていれば、続けられただろう。
ドイツでは警察官で編成した武装親衛隊、
SS警察師団があるのは周知の事実だし、それ以外にも、ドイツでは警察官で編成した部隊が後方地区の警備にあたっていた。さらに、パリ解放でレジスタンスに混じって戦うパリ警視庁の警察官、ノルマンディー上陸作戦を前にして、イギリスのどこかをガラガラ走るタンクトランスポーターに乗せられたM4シャーマンを見送る英軍・米軍MPと、交通整理にあたるイギリスの田舎町の駐在さん、ドイツ軍の侵攻から避難する難民の誘導にあたるフランスの巡査、本土決戦を間近にして、移動中の戦車部隊を見送る、白い麻の夏服を紺色に染めなおし、戦闘帽型の略帽に鉄帽を背負った田舎町の駐在さんといった、19301940年代の制服警察官からはじめ、西南戦争のときの「警視庁抜刀隊」の異名で知られる警視隊、『シャーロック・ホームズ』シリーズの書かれたころのスコットランド・ヤードのヴィクトリアン・ボビー(ボビーは警察官のニックネーム)といったように時代をあげ、幅を広げて様子を見たうえで、SWATや日本の機動隊といった特化部隊もシリーズ化していく中で、婦人部隊員にも改造できる、アメリカやイギリスの193040年代からはじまって、日本も初代の昭和21年から、マニアのあいだでは一番人気の昭和51年式、現行の平成6年式といった日本の婦警さんもキット化したい。
平成
6年式制服の腕のバッジのエンブレムは、『逮捕しちゃうぞ』の「Bokutou Police Station」、墨東署…とやりたいが、それでは版権を取らなければならなくなるので、実在の「Jyoto Police Station」と、城東署だが、入っているキットの新旧制服のフィギュア達は、交通課では、ショートカットの夏実、三つ編みの美幸、メガネっ娘の頼子、ソバージュの葵……に似てなくもないかな…?という人たちが出ていたり、交通機動隊では中嶋、東海林、それに『こちら亀有駅前公園派出所』の本田…に似てなくもないかな、という人がいるし、地域課では両津勘吉に似た下駄履きの巡査長やら、「部長」、「寺田」に似たメガネのおまわりさん…も入っている、となるわけだ。
実在の人物を
1/35化した、タミヤの『ゼネラル・セット』などを見ての結論では、似せられる最低サイズは1/24、それらしく見せられるサイズは1/35が限界のようだから、正々堂々、版権を取ってやったとしても、製品は「似ている…かな?」ぐらいになってしまうだろう。
婦警さんに次いでやりたいのは、婦人部隊。前述の通り、第二次大戦ではアメリカ、イギリス、ソ連、ドイツでは正規部隊として編成されていて、ソ連では前線でも、他の国々では後方支援をメインに活躍している。
「目指せベルリンへ!!」と歩兵を満載した
T-34のかたわらのGAZジープに、暗号表の入ったカバンを片手にしているソ連軍の女子通信隊員、ノルマンディー作戦の前後の英国本土で恋人を見送る英軍の婦人部隊員、憲兵の乗ったジープを動かす婦人部隊員などを作るうえでは欠かせない存在だ。
そんな中で、アメリカ軍の婦人部隊員に日系、もしくは中国、韓国系の隊員、ソ連軍ではアジア系の婦人部隊員とはいかないものだろうか。
現用で出してくれるなら、


どこかの基地で展示してある戦車を見て「実車取材じゃ!!」と、しきりと計ったり、写真を撮る模型ファンに、半ば冗談のつもりで、日系の女性MPは声をかける。
「You’re under arrest!」
「ええっ!?」
といわれてびっくりした模型ファンが、その女性MP二人の胸の当たりの名前を見てみると、ショートカットの彼女は「N TUJIMOTO」、三つ編みの彼女は「M KOBAYAKAWA」となっているではないか。

……なんて、『逮捕しちゃうぞ』の英訳、『Youre under arrest』にひっかけた、ストーリー付きの小情景が作れるのにな、と思うのはわたしだけだろうか。(これが本当になるんだったら、ボックスアートは藤島康介だろう。もちろん、この二人の日系MPは、辻本夏実、小早川美幸そっくりなのだ。)
第二次大戦中、日系人がアメリカに二心がないことを証明しようと志願したのは有名な話だ。女性が志願したかは寡聞にして聞かないが、まったく志願しなかったとも考えにくい。それに、アジア系の女性がまったくいなかったとは言いきれないし、ベトナム戦争以後の現用なら、十分その可能性は考えられるわけだ。
日本も、戦火が太平洋に拡大した昭和
17年、英軍の防空セクター勤務の婦人部隊員と同じような任務につく、軍服類似のデザインの制服を着た未婚女性を文官として採用し、東部軍防空本部などに配置したという。それに、平時から陸軍省、海軍省本省や病院はもちろん、陸海軍工廠や糧秣廠、被服廠には女性が勤務していたし、太平洋戦争突入以降は兵站や補給部隊にも女子挺身隊や女学校からの動員学徒といったかたちで女性が勤務していた。さらには鉄道、郵便の現場にも、日中戦争開戦以降、正規職員として、「宝塚の男役を思わせる」と回想される、制服姿の女子職員が進出していった。
男勝りの怪力の女子鉄道員、機関助士の夏実、補充機空輸の中継基地で働く、整備兵顔負けの知識をもつ美雪、電話交換の頼子、陸病勤務の看護婦葵……そういう人たちを作れないものかと思っている。
スケール模型での女性は、わたしが模型屋になったら、婦人部隊員や婦人警察官を中心にして、採算を無視してでもやりたい題材だ。