夢の話
〜宗村交通指導員〜


 「激動の昭和彩った、あの日の姿、今ここに」を目標に、コスプレイベントに出るだけではなく、持っている歴代の警察官制服を生かし、地域の交通安全運動と防犯活動にも協力する官庁系コスプレイヤーの集団、コスプレ集団・レイヤーズ。拙作『白昼夢』シリーズで活躍するこのレイヤー集団は、架空の存在である。だが、それを現実にする夢を見た。
 自宅近くの道路は、渋滞の抜け道になっているので、朝夕には交通量が多くなる。しかも小学校・中学校の通学路なのに、信号がないので、交差点で渡れず困っている小中学生がときおりいる。それを見かねて、僕が制服姿で交差点に立った。
 といっても、現行の平成
6年式警察官制服ではない。一世代前の昭和43年式制服で、交通腕章、白帯革、白脚絆にGI型ヘルメット。白の警笛吊り紐、白の木綿セーム手袋。一世代前の交通課の標準的着装の一つだ。らすかるさんに描いてもらった、昭和43年式制服姿で交通整理にあたる高村の姿をそのまま再現したといっても、過言ではない。


右、夢の中での姿。左、らすかる絵師の描いた作者の分身、高村宗光
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 交差点の真ん中に立てるほど道幅は広くないので、普段は路側で待機、横断させる人が来たときだけ道路中央に出て警笛を鳴らし、右手を水平に伸ばして相手に一時停止を求め、横断させるとまた路側に戻り、挙手の敬礼をドライバーに送る。夢はそれだけだが、僕は交通誘導警備の交通誘導員になったことはないし、交通安全協会の交通指導員でもない。
 なぜこんな夢を見たのか、あれこれ理由を考えてみた。
 小学校のころ、制帽に目立つよう白い日おおいをつけ、白あご紐に白帯革と、警察官のような制服姿の男性が横断歩道の前に立ち、通学時間帯に横断しようとする小学生がいると、通りかかった車に一時停止を求める交通安全指導にあたっていた。そのときは、小学校から少し行ったところに警察署と警察の寮があるから、交通課の警察官が来ているとばかり思っていたが、あの人が今回夢で自分がなった、警察官と同じデザインの制服を着て交通整理にあたる交通指導員だったのだ。
 調べてみると、交通指導員は、交通安全協会の職員、地方自治体の交通関係部署の職員など身分は様々で、制服を着ない場合や無報酬の場合もあるという。小学生時代に見た交通指導員は、前者のほうだろうか。
 ちなみに、「城北の青き疾風 犬飼高美の学科教習」で触れたように、交通指導員は、似た名前だが、道府県警察の交通課に配属される、制服を着た警察事務職員の交通巡視員とは違い、交通誘導警備の警備員と同じく、警察官類似の制服を着ていても、相手はこちらの指示に従う義務はない。
 警察官類似の制服姿で交通整理をしてみたいという願望が見せた夢だった…といってしまえばそれまでだが、今回の夢をきっかけにあれこれ調べたので、小学生時代からの疑問が解けて、ほっとしている。小学生時代のあの日に見た、「制服姿のお巡りさんのかっこよさ」が、今もどこかに残っているのだろう。
 制服姿でスクールゾーンの時間帯、信号機のない交差点で車を停め、小中学生を渡らせる交通安全指導はやってみたいが、会社勤めを始めた今では、自分の通勤時間帯に重なっているので、やりたくともやれないボランティア活動になってしまった。